セミナー・イベント開催レポート REPORT

神奈川県立白山高等学校における「県内高校外国語科教員対象冬季CALL研修会」レポート

2013年1月7日(月)、神奈川県立白山高等学校にて、毎年2回行われている「県内高校外国語科教員対象冬季CALL研修会」が開催された。期日が年始にもかかわらず、たくさんの県内英語科の先生方が申し込まれ、すぐに定員に達した。

ご発表は、白山高等学校のベテラン教諭、西部優先生と畑瀬敏樹先生による授業実践報告。引き続き、三輪田学園中学校・高等学校の坂岩有紀先生がCALLシステムやデジタル教科書を活用した授業展開について、模擬授業の形でご発表された。チエルによる操作体験コーナーでは、授業で音声教材を使うことを想定し、音声教材の簡単な作成方法を参加者に作業していただきながらご紹介した。 冬休みが明け、授業開始に向けて先生方の意欲が感じられる、充実した研修会となった。

授業実践報告:西部 優先生

- フリー画像サイトを用いた教材作り(初級) -

海外のサイト『Free Digital Photo』をご紹介される西部先生

 

今回のご発表内容は、教科書の挿絵、写真や文字に加えて、独自で作成した画像とパワーポイントでさらに楽しく学習させようというもの。イメージ画像や動画を見せることで、生徒により関心をもたせ、イメージと関連付けて記憶に残すという効果を狙った学習法だ。単語だけでなく、文章で画像を説明すれば、文で記憶することもできる。これはTOEIC®テストやTOEIC ® Bridgeテストの第1問の対策としても効果が望めるものだ。

西部先生はコミュニケーション英語や英会話の授業で、レッスンごとにキーセンテンスを画像で覚えさせているという。実際に活用されているのは、『Free Digital Photo』というフリーで様々な画像を提供している海外のサイト。教材作成方法はシンプルで、英単語や英文に合った画像をサイトで検索、ダウンロードしてパワーポイントに添付したものを数枚用意するだけである。これらのパワーポイントは、チエルの『フラッパ』(※注1)でランダムに表示し、繰り返し学習の中にも、変化をつけて飽きさせないように工夫もできる。また、生徒が楽しんで英語を学習できるよう、時には教科書に載っていない内容も盛り込んでいるという。「どうも教科書のデフォルトだけでは物足りなくて…」とにこやかに話される西部先生。先生ご自身も生徒のために楽しんで教材を準備、生徒も楽しんで英語を学ぶ姿が思い浮かぶ。このほかにも、人前での発表が苦手な生徒対応のために、リーディングの授業では、パワーポイントにナレーションを付け、朗読の作品として提出させるなど、生徒のレベルに合わせたCALLシステムの活用法をご紹介いただいた。

(注1)フラッパ(フラッシュ型教材ビューアー)は、フラッシュ型教材をランダムな順番に表示するなど、いろいろな変化をつけて提示することができるソフトウェアです。(関連サイト:http://eteachers.jp/guide/howto.html

 

授業実践報告:畑瀬 敏樹先生

- 初心者がまずは使ってみたCALL Part 3 -

 

Calabo EXのコントロール画面を見せて解説する畑瀬先生

2012年度はCALL教室を使える時間が「英文法」の授業だったため、普通教室で通常どおりの授業をされていた畑瀬先生。そのうち生徒からCALL教室で授業をしたいという声があがってきたため、急きょ方針を変更、文法の時間も普通教室と交互に週1度CALL教室を利用することにしたそうだ。今回は、文法の授業でCALLを活用して生まれた効果と今後の課題についてご発表された。

文法=CALL教室活用のイメージはもちにくいが、畑瀬先生は「できることから」をモットーに、授業に合わせたCALL教室の活用法を見出されている。例えば、文法練習問題のプリントをワードファイルのまま生徒用PCに配布、生徒はそれに直接解答をタイプするというように、会話やリスニングとは違ったCALLシステムの機能を使い、「結果的に印刷やプリント配布の時間を削減することができた」と話された。生徒も、手書きの時よりはるかによく問題に取り組めているとのこと。また、自分の声を録音させ、文法の時間に音読練習を充実させられるのもCALL教室ならではと言える。

 

その他にも、CALL教室で授業をする利点として、すぐにインターネットの辞書サイトで単語の意味を調べられることや、文法事項についてもっと多くのことを調べられることが挙げられた。さらに、英語Webサイトで物調べをさせる際、英文の大意をつかみながら自分の必要な情報を探し出させることで、リーディング力や表現力を自然と養うことも期待される。生徒が一生懸命PC上で作業に打ち込んでいるときは、CaLabo EXの「メッセージ送信」で生徒のPC画面に先生からのメッセージを表示するのだそうだ。そうすれば生徒の作業を大きく中断させることなく、確実に次の指示を出すことができる。

畑瀬先生はCALLシステムを利用し始めてから早2年、CALL教室の導入・更新や運用に関するノウハウもだいぶ蓄積されている。今後はフリーの音声読み上げソフト『Natural Reader』をCALLシステムと併用して活用してみたい、とのこと。また、英語科だけに利用を限定するのではなく、他教科でも十分にCALLを活用した授業を展開できるため、他教科との情報交換・共有が大切であることを説かれていた。

授業実践報告:三輪田学園中学校・高等学校 教諭 坂岩 有紀先生

- 教科書を中心としたCALLの使い方 -

三輪田学園中学校・高等学校では2009年にCaLabo EXを導入し、長い間、英語科での活用法を模索されていた。そんな中、坂岩先生は畑瀬先生と同じように、できることから利用することを心がけ、次第にCALL教室での授業も波に乗るようになったそうだ。今ではCALLシステムの他にも英検対策のe-Learning教材『旺文社・英検CAT』やCALLシステム対応動画教材『Adventures Abroad』を活用されている。また、昨年からはデジタル教科書も導入されており、今回はこのデジタル教科書とCALLシステムを組み合わせた中学校での授業実践例をご発表された。

坂岩先生のCALL教室での授業は、デジタル教科書や画像、動画、音声ファイルなどを活用し、リスニングとスピーキングの活動を中心に行われている。CALL教室では動画や音声などを通してインプットを増やすこと、会話や音読練習で学んだ英語を口に出すことに重点を置き、その他の細かい文法や英文解説の時間は普通教室で対応されているという。

坂岩先生は、新しい単元に入る時は先ずデジタル教科書で動画を見せ、生徒にこれから学習する話題のイメージをつかませるのだそうだ。その次にスクリプトを提示し、デジタル教科書の「リピートモード」などを使いながら発音練習に移る。さらに、CaLabo EXの動画音声学習ツール「ムービーテレコ」で、教科書付属のCDから予め音声ファイル化していた音声ファイルを生徒に配る。生徒は各自で自分の発音を教材に合わせてマイク録音し、音読練習をするのだ。CALL教室では、発音練習をさせている間に1人ずつ「インカム」でヘッドセットから声をかけ、発音指導を行うことができるため、より個々への対応がしやすいと坂岩先生はおっしゃる。マイク録音をして録音ファイルを回収してしまえば、授業後にも発音の確認ができるため、より丁寧に1人ずつ指導することもできる。ペアで発音練習をさせるときも同様に、ペア毎に確認を行い、「モデル」でよくできていたペアに発表させるようにしているそうだ。さらに授業の終わりには、事前に作成しておいた「評価・テスト」で単元の理解度チェックテストを行い、その場で多くの誤解答があった問題を解説するというように、徹底した授業をなさっている。

CALLシステムを利用することで、一斉指導、個別指導、発表の流れがよりスムーズに行え、生徒も全員が様々な活動をするため、充実感を覚えるようだ。坂岩先生の指示のもと、参加された先生方もこの「ムービーテレコ」でマイク録音、ペアワークと確認テストを生徒役として体験され、特にペアワークでは楽しそうに会話をされており、にぎやかな授業実践紹介となった。

常に新しいことにアンテナを張り、情報を取り入れられている坂岩先生。CaLabo EXやe-Learningシステムのような様々なシステムや機能を活用することでいかようにも英語教育の幅を広げることができると、目を輝かせて語る先生に、今後の新たなCALLシステムの活用法を期待したい。

 

「CaLabo EXで英語教育の幅を広げられる!」と語る坂岩先生

時には、ヘッドセットから生徒に指示を出す

CALL操作体験

- 音声教材作成とムービーテレコでの活用のご紹介 -

チエル株式会社 CS推進課 三木 智絵

坂岩先生の授業でも、予め用意した音声ファイルを活用されていたが、CALL教室では音声を使った授業がまず想定される。そこでチエルによるCALL操作体験では、Windowsに標準装備されている『Media Player』を使い、CD音声をデジタルファイル化する手順をご紹介した。また、その音声ファイルを「ムービーテレコ」に読み込ませて文字入力欄に問題や解答、英文スクリプトや日本語訳を記入し、音声と文字を合わせた独自の音声教材を作成する手順も参加者に体験していただいた。

さらに、CDが付いていない教材でも、畑瀬先生からもご紹介にあった『Natural Reader』に文字入力すると、ネイティブの発音で読み上げ再生することができる。この音声を「ムービーテレコ」で録音、音声ファイルとして保存すれば、音声が付いていない教材でも、簡単にリスニング教材を用意することができるのだ。他にも、『Real Player』を使ってトリミングするなど、音声ファイルを簡単に編集する方法をご紹介した。

参加された先生方からは、「リスニング力強化のために、音声教材はたくさん用意したいと思っていたが、手順が分からずに苦労していた。今日手順が分かって大変助かった」や「フリーソフトでこんなに簡単にできるのなら、さっそく試してみたい」などの感想をいただいた。

『Windows Media Player』でCDから音声を取り出し、ファイル化

センテンス教材を作成・体験

 

CALLシステム導入時や運営方法などはどの学校様も悩まれることが多いようで、授業例や活用例といった情報を常に探されているのだということが研修会のアンケートでも拝見することができた。このような研修会を通して、少しでも、先生方の授業スタイルに合うような事例や活用法をご紹介していけたら、と思う。

2012年度第2回の神奈川県立白山高等学校でのCALL研修会は、休憩時間や終了後も質問に見える先生方が数多くいらっしゃり、「すぐに授業で実践したい」や「自分にもできそうなことを学べてよかった」などのうれしいご感想をいただけ、大盛況のうちに終了した。

集中して耳を傾ける参加者たち

活発に行われた「全体質疑応答」

 

 

 

 

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