セミナー・イベント開催レポート REPORT

金城学院大学における『CALLセミナー』開催報告レポート

金城学院大学では、2012年9月にCaLabo EXを導入、CALLシステムを活用して更に語学教育の幅を広げようとされている。その第一段階として、2013年3月15日(金)、CALLシステム利活用の第一人者、名古屋学院大学の柳善和先生をお招きして、金城学院大学として初めての試みとなる『CALLセミナー』が開催された。
柳先生には、「CALLを使ってどのような授業ができるのか」についてのご講演をいただき、引き続き、参加された先生方に情報共有していただける場として「茶話会」を設けた。

参加者は、柳先生のCaLabo EXを用いたCALLシステムに関するノウハウの紹介やその間のユーモアあふれるお話に聞き入り、「柳先生のような授業をしたい」「どのようにしてよいかわからなかったが、自分でもできそうな気がする」といったご感想が多く聞かれ、『CALLセミナー』は、大盛況のうちに終了した。

■講演『大学におけるCALLを使った英語授業』
名古屋学院大学 外国語学部 柳 善和教授

◆自律学習ができる学生を育てたい

ユーモアを交えて話される柳先生

名古屋学院大学は、1989年に外国語学部を新設し、全国でいち早く、コンピュータを活用した外国語教育のための教室(CALL教室)を設置し、英米語学科の必修科目として利用を始めた大学だ。併せて、CALL教室で利用するための教材の開発にも取り組み、レーザーディスクをMS-DOSで制御し、画面上に画像とテキストデータを同時に提示するシステムを考案するなど、現在のCALL教材の先駆けとなる教材も作成されている。その中心に居て活躍され、現在に至るまでCALLシステムの教育カリキュラムを研究されているのが、柳先生だ。CaLabo EX は、2007年に導入され、「会話」でのペアレッスンや「ムービーテレコ」でのディクテーションといった、学生の活動を中心とした授業を巧みに実践されている。

「人生90年として、人間が何らかの学習に費やす時間は、おそらく70年という大部分を占めるが、そのうち大学で学習する時間と言ったら、わずか、ですよ」といつも学生に言っているという柳先生。授業でぜひとも身につけてほしいことは、「(1)英米語学科(国際文化協力学科)の学生として、将来自分の英語学習(他の外国語も含めて)を企画・立案していく能力を身につける。(2)英語(外国語)学習の方法は多様であることを理解し、できるだけいろいろな学習方法を体験する。(3)身の回りにあるものを教材として利用する方法を身につける。」の3点だそうだ。

したがって、柳先生の授業では教科書を使わず、教材は身近にある映画やNHKラジオ・テレビ講座で、レベルも様々だという。学生は、何を言っているか早すぎて聞き取れないなどと言うこともあるが、様子を見ていると、そのうちに自分たちで再生スピードを遅くするなど、聞き取る「方法」を考えるようになる。自らが考え、解決策を見出すなど、「自律学習ができる学生を育てたいという柳先生の思いが通じる瞬間かもしれない。

◆CALL教室は、学生主体の授業に最適

「ムービーテレコ」の活用法もご紹介


 

柳先生の授業では、映画を見せてディクテーションさせる、小テストで解答させるなど様々な活動を入れ、個別学習と一斉学習をテンポよく切り替えながら行われる。その中で一番注意していることは、解説に時間をかけないこと。「教員を長年やっていると、学生たちが必ずしも興味をもってくれるとは限らない蘊蓄を話したい衝動に駆られてしまうのですが、そこをぐっと我慢して、テストに解答する、英語を書き取るなど、できるだけ学生に作業させるようにすると、授業中に居眠りや、余計なことをし出すことはほとんど見られないという。

また、そうした学生の活動を増やすことで、教師が学生を観察し、質問に答える「余裕」も生まれてくる。学生をより良く観察すれば、授業の仕方や学生の対応も更に工夫できるに違いない。CALL教室は、一斉学習と個別学習をスムーズに切り替えることができ、学生の活動をふんだんに取り入れることができるので、学生の活動を中心とした授業に適していると言える。

学生に様々な活動をさせた後、柳先生が授業の最後に必ず行うことにしているのが、「暗唱テスト」だ。心理学者エビングハウスによる忘却曲線ではないが、学習したことをすぐに忘れてしまわないよう、先生は授業ごとに「暗唱」という形で、その日学んだことを身につけさせようとしている。そして、1週間後に確認テストをすることによって、これが定着につながっていく。ここにも柳先生の工夫が見られるところだが、この暗唱は、男女のペアでさせることにしているのだそうだ。男女のペアだと、お互いに気を遣い合い、相手に迷惑をかけないよう、一生懸命に暗唱する姿が見られるというのだ。また、更に輪をかけて「早抜け」にしておくと、更に相手に迷惑をかけまいと集中して暗唱にとりかかることになる。こうして授業終了時には、全員が「言えるようになった」「覚えた」という達成感をもって授業を終え、教室を出て行くことになる。

さらに、柳先生は、その日の授業のアンケートを取り、その場ですぐにフィードバックすることで授業に対して共通の認識を持つように工夫されている。中でも興味深かったのは、「自分だったら、この教材をどんなふうに使うか」という質問。授業での例文から離れ、実際に自分だったらどのようなシチュエーションで、どのように使うかを想像して書くことで、応用して考えることになり、他の場面でも融通性が出てくるようになる。

授業でのそれぞれの作業が、大学を卒業して一人で学習する際に、路頭に迷わず学習できるよう、習慣づけがなされているような印象を受けた。

楽しそうな「茶話会」でのひとコマ

講演後は、「映画を教材とした場合、学生が授業の前に日本語で全部内容を知ってしまったらどうしますか」「どんどん自由に見させる、調べさせるようにします。興味をもつということにもつながります」といった質疑応答も活発に行われ、茶話会では、多くの参加者が柳先生を囲み、詳しくお話を伺う先生や有意義だった感想を伝える先生方で賑わった。同時に、他の高校や大学から参加された先生方の間では、CALLシステムに関する意見交換される姿も見られるなど、参加者のたくさんの笑顔を拝見して、それぞれにご満足いただけた『CALLセミナー』であったに違いない。

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