「金城学院大学『CALLセミナー』」開催レポート
2018年3月6日(火)、金城学院大学にて『CALLセミナー』が開催され、県内外の高校・大学の先生方21名参加のもと、以下の2つのプログラムが実施された。
講演・模擬授業「検定教科書と『CaLabo EX』、そして教師の役割」
東京経済大学 特任講師 吉原 学 先生
吉原先生が慶応義塾大学理工学部のリスニングの授業で実践されている『CaLabo EX(キャラボ・イーエックス)』をフル活用した活動を、参加者の先生方に体験していただく模擬授業。「リスニング→チャンクリーディング(※1)→リーディングアラウド(音読)→録音→フィーリング&シンキング(ディスカッション)→チャンクライティング(※2)」という実際の授業の流れで進められた。
吉原先生は、毎回の授業の始めに「出席」機能で出席管理を行い、「ファイル配布」機能を使ってその日の授業で使うWordファイルや音声ファイルを配信されている。さらに、「ムービーテレコ(Self-Learningモード)」機能で各自リスニング、「会話」機能のペアワークで行うチャンクリーディング、ここでは日本語的な和訳(返り読み)ではなく、英語的な和訳(左から右に訳する)を実践させる解説も加えられた。顔が見えない音声のみのやりとりで協働作業をすることに新鮮味があり、対面が苦手な学生でも学習を進められると感じた。その後、「ムービーテレコ(Self-Learningモード)」機能で音読練習、録音を実施。「会話」機能のペアワークで行うフィーリング&シンキング、内容の確認として紙媒体で行うチャンクライティングの方法を説明。授業の最後で行われるチャンクライティングは、英語的な和訳を参考に英作文をするため、ネイティブスピーカーと同じように考え、アウトプットできる効果があると解説された。
吉原先生は、90分授業のうち学生主体の時間が平均70分と語る。授業準備に時間をかけて、授業中は机間巡視をし、メンターの役割を担っているという。
また、予習用教材としてチエルの『ABLish(エイブリッシュ)』を利用されている。「学生自身が自分の興味のあるトピックを選択し、学習できるところが『ABLish』の魅力の一つ」と話された。
参加された先生方からは、「”英語的日本語訳”は、まさに目からうろこ」「教師は準備や手助けの術を身につけていく方向にあると再認識した」「今後の授業改善に活かしたい」などと、多くの前向きな感想が寄せられた。
※1:息継ぎを参考にしながら、意味を構成する表現断片であるチャンクを活用した改行チャンキングを文章に施す学習。
※2:意味を構成する表現断片であるチャンクで区切られた日本語訳を参考に英文を組み立てるライティングの学習。
『CaLabo Language』と『ABLish』のご紹介
チエル株式会社 製品技術部 CS推進課 小杉 麗奈
今回は、スピーキング学習システム『CaLabo Language(キャラボ・ランゲージ)』と、時事英語ニュース学習システムとしてこの夏にバージョンアップを予定している『ABLish』のMALL製品をご紹介!
まず、CALL(Computer Assisted Language Learning)とMALL(Mobile Assisted Language Learning)の違いについてご説明。CALLは、おもに効率よく語学4技能統合型の授業を展開するために使われるもので、チエル製品では『CaLabo EX』がこれに当たる。MALLは、おもに授業時間外の予習、復習で用いられるもので、スマートフォンで生徒自らが主体的に学ぶ環境づくりを提供しており、これには『CaLabo Language』と『ABLish』が分類される。
『CaLabo Language』は、4技能の「話す」に特化した「音素学習、発音矯正、プレゼン等のテキストの音声化」ができるスピーキング学習システムで、英文テキストをもとに教材音声の自動作成ができることから、会場では実際に画面をお見せし、その場で登録した読み上げ音声を再生すると、会場は大いに盛り上がった。
『ABLish』は、世界のニュースを1分間前後の短いトピックにまとめ、週3回配信する「英語ニュース教材配信サービス」である。1本のニュースに対し、2種類の難易度の文章と音声、クイズがクラウドで提供される。この夏には、これまでの教材配信・管理機能に加え、チャンク機能などを追加して、さらに学習しやすくバージョンアップする予定だ。
参加された先生方からは、「CALLとMALLの併用で有効な英語学習につながるとわかった」「発音指導は難しいと思っていたが、CaLabo Languageを活用したら授業内でもやりやすいと思った」「ABLishはクラスで実際に使ってみたい」といった感想をたくさんいただいた。
今回のセミナーでは、模擬授業をはじめとした体験型のプログラムを通して、CALLとMALLの両方を使うことによるメリットを実感していただけたようだ。ご意見やご感想からも、今後の授業に参考としていただける、大変充実したセミナーとなった。