「CHIeru エデュケーショナル・セミナー2011『文教市場における政策動向と課題』」
弊社は「CHIeru エデュケーショナル・セミナー2011『文教市場における政策動向と課題』」と題した販売パートナー様対象のセミナーを、株式会社Doctor Web Pacific 様の協賛を得て、これまでに札幌[2011年10月20日(木):ホワイトキューブ札幌]、福岡[10月27日(木):博多バスターミナルホール]、東京[10月28日(金):天王洲セントラルタワー]の3会場にて開催した(東京は同日開催の「ICT研究会」のプログラムとして開催)。
本セミナーは、「スクール・ニューディール構想」の一環として行われた「学校ICT環境整備事業」後の小中学校を取り巻く「教育の情報化」に関する動向と課題について、また、国際的にも質の向上が求められている大学の「教育改革」の現状と課題について、それぞれ国の予算措置との関わりを踏まえて紹介し、今後の両市場におけるICTの利活用等に向けたビジネスチャンスを探り、販売パートナーの皆様との協業関係のなかでビジネスを拡大していくことを目的として開催。各販売パートナー様の営業部門責任者など、3会場で計67名[札幌:18名、福岡:17名、東京:32名]の方々にご参加いただいた。
<セミナー・プログラム>
セッション1【小中学校市場:「教育の情報化」に関する動向と課題】
セッション2【大学市場:急がれる「教育改革」の現状と課題】
製品紹介1【ウイルス対策ソフト『Dr.WEB』ドクターウェブ】
製品紹介2【e-Learningシステム『Glexa』グレクサ】
冒頭、本セミナーのコーディネータを務める弊社代表取締役:川居睦より、「CHIeru エデュケーショナル・セミナー2011」開催の趣旨を説明したあと、小中学校市場・大学市場に関する各セッション、さらに製品紹介[Dr.WEB]、[Glexa]の順で実施した。
セッション1【小中学校市場:「教育の情報化」に関する動向と課題】
セッション1では、小中学校市場における長年のテーマである「教育の情報化」に関する動向と課題について、「『教育の情報化』にまつわる指針と政策」及び「小中学校に関する文教予算」の二つのテーマで、弊社理事の加藤栄政より発表を行った。
■ 「教育の情報化」の指針と政策に盛り込まれているビジネスチャンスを的確に捉える
「『教育の情報化』にまつわる指針と政策」については、はじめに、二つの指針「教育の情報化の手引」「教育の情報化ビジョン」と、四つの政策「学校ICT環境整備事業」「フューチャースクール推進事業」「学びのイノベーション事業」「ICT絆プロジェクト」の流れが一目でわかるスライドを提示し、指針と政策の関係やそれらの経過を時系列的に概観したあと、各指針・政策の説明を行った。
指針については、「学習指導要領」改訂に準じて改訂される「教育の情報化の手引」が学校における「教育の情報化」のバイブル的存在であること、そして、これを踏まえて2011年4月に公表された「教育の情報化ビジョン」は、2020年度に向けた「教育の情報化」に関する具体的な推進方策として、デジタル教科書/教材・情報端末・ネットワーク等、学校におけるICT環境の整備のあり方を示した上で、ここにわれわれにとってのビジネスターゲットが盛り込まれていることを説明し、参加者は真剣に聞き入っていた。
政策に関しては、「スクールニューディール構想」及び「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」で過去に例のない4,080億円規模で実施され、2010年度で終了した「学校ICT環境整備事業」により、学校におけるICT環境の整備が図られたが、整備を実施した小学校は全体の75.8%、中学校は69.1%と、残りの30%前後の学校では実施していないという実態を考慮して今後のICT導入ビジネスにつながることを説明すると、 参加者も頷いていた。また、「教育の情報化ビジョン」で謳われている「モデル地域・学校での総合的な実証研究」の具体的な取組として実施されている「フューチャースクール推進事業」「学びのイノベーション事業」や、「ICT絆プロジェクト」の概要を紹介し、よく耳にする名称の取組内容について、参加者は理解を深めていた。
■ 教育委員会への「教育の情報化対策に関する地方財政措置」活用提案・働きかけが重要
二つ目のテーマである「小中学校に関する文教予算」については、まず、学校の「ICT環境整備予算」として貴重な存在である「教育の情報化対策に関する地方財政措置」を紹介。この「予算」は、校務支援システムやデジタル教科書・デジタル教材などのICT整備の財源となり、ここ数年ほぼ一定額が措置されているため、その有効活用を教育委員会に対して積極的に働きかけることが、ビジネスチャンス拡大に直結するアクションになることを提言した。
また、教材関連の予算措置として、「教材整備緊急3か年計画」や、2011年度新規に予算措置が取られた「小学校外国語活動の教材整備事業」について、概要の説明を行った。
最後に、立ち遅れていると言われている日本に対して、海外における「教育の情報化」政策と実状の例として、韓国・シンガポール・イギリスの取組について紹介し、発表を終えた。
発表終了後、コーディネータの川居より、セッションの冒頭で説明のあった「二つの指針と四つの政策」についてのおさらいや、「教育の情報化対策に関する地方財政措置」の活用を教育委員会に働きかけることの重要性等をあらためて確認した。また、文部科学省が2007年度から実施している「全国学力・学習状況調査」の2010年度調査結果について、セミナー開催都道府県の状況を中心に紹介し、児童/生徒の学力レベルの状況に応じたデジタル教材提案等を教育委員会に行うことが有効であることなどを提言した。
セッション2【大学市場:急がれる「教育改革」の現状と課題】
セッション2では、大学市場における喫緊のテーマである「教育改革」の現状と課題について、「大学教育改革の実態と動向」及び「大学の文教予算への取組」の二つのテーマで、弊社取締役の古舘誠より発表を行った。
■ ICTの活用等による学習成果重視の教育方法見直しなどが大学教育改革の課題
「大学教育改革の実態と動向」については、まず、2008年12月に中教審(中央教育審議会)が当時の塩谷文部科学大臣に答申した『学士課程教育の構築に向けて』に関して、本答申が出された経緯、本答申の概要、そして現在も本答申が大学教育改革の指針となっていることを紹介し、大学教育改革にあたり最も重要と本答申が位置づけている学士課程教育における三つの方針:「学位授与の方針」「教育課程編成・実施の方針」「入学者受入れの方針」の明確化における課題、各大学に期待される取組、国によって行われるべき支援・取組の説明に、参加者は熱心に目と耳を傾けていた。
つづいて、「質の保証」「国際化」「就業力の育成」がキーワードとなっている大学教育改革に対する国の継続的支援に関して紹介。「質の保証」「就業力の育成」に関する「大学教育質向上推進事業」や、「国際化」に向けての「大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業」、「留学生30万人計画」などについての趣旨・予算措置実績・各大学での取組例等の説明を行った。取組例でご当地の身近な大学が登場すると、参加者は一様に身を乗り出して、取組内容を確認していた。
一つ目のテーマである「大学教育改革の実態と動向」のまとめとして、中教審の大学教育部会が学士課程教育の現状と課題について議論した際の議事録配付資料から、いくつかの課題と解決への指針を抜粋して紹介した。このなかで、「教育課程編成・実施の方針」の明確化でも指摘している課題である「学習成果の重視などを踏まえた教育方法の見直し」に対しては、eラーニングやアクティブ・ラーニング等のICTを活用した教育の推進・普及などを図る必要があるという同部会の提言に、ビジネスに直結する内容として参加者の関心が更に高まる様子がうかがえた。
■ 「私立大学等経常費補助」の「特別補助」が文教予算での大きなビジネスターゲット
われわれのビジネスに大きく関わる「大学の文教予算への取組」として、2011年度、新規に予算措置が取られた「国立大学:教育研究特別整備費」や、私学に対する最大規模の助成である「私立大学等経常費補助」などについて説明を行った。
「国立大学:教育研究特別整備費」が財政逼迫の状況下で新たに創設されたことは、”大学改革推進のインセンティブとするためである”と文部科学省が説明しているように、大学教育改革に対する国の強い姿勢を示したものと言える。
私立大学の運営には欠かせない「私立大学等経常費補助」いわゆる「私学助成金」は、ここ数年、予算規模に大きな変動はなく、ここでは「一般補助」と「特別補助」の2種類があることや大学別交付実績などを紹介し、特に、教職員数や学生数等に応じて交付される「一般補助」に対して、「特別補助」は「教育の質保証」等の大学教育改革につながる特色ある取組に対して交付され、この「特別補助」の対象となった取組がわれわれのビジネスターゲットになるという説明に、参加者は大きく頷いていた。
最後に、2012年度の文教関係予算に関する動向について、9月に発表された平成24年度文部科学省文教関係予算の概算要求のポイントを紹介。文教関係予算の概算要求総額も「私立大学等経常費補助」も2011年度比増額要求していることや、「大学教育改革新展開事業」「グローバル人材育成推進事業」「アカデミック・パイオニア養成支援事業」といった新規予算要求事業が盛り込まれていることなど、今後のビジネスチャンスにつながる内容を中心に説明を行い、参加者は真剣な表情で聞き入っていた。
発表終了後、コーディネータの川居より、最大規模の私学助成であり、文教ビジネスに大きく関わる「私立大学等経常費補助」のポイントをあらためて確認したあと、参加者に配付してある「学習支援環境の構築に関するご提案 ~中教審『学士課程教育の構築に向けて(答申)』の実現に向けて」と題した資料に、本セッションで紹介・説明した中教審答申の詳細内容、及び答申の施策を実現する手段としての弊社製品・サービスの提案内容が掲載されていることを紹介し、ビジネスチャンスの発掘・拡大に役立てていただきたい旨をお話しして、本セッションを終えた。
製品紹介1【ウイルス対策ソフト『Dr.WEB』ドクターウェブ】
弊社が8月に学校向け販売を開始した、ロシアDoctor Web社のウイルス対策ソフト「Dr.WEB」(ドクターウェブ)について、株式会社Doctor Web Pacificの菅原修社長(札幌会場)、営業部:田崎十悟部長(福岡会場)から製品紹介を行った。
「Dr.WEB」は、ロシアの国防総省、政府機関をはじめ、世界のグローバルカンパニーで利用されている信用と実績を持つ業界最高水準のセキュリティ製品で、その裏打ちとなる特長として、Doctor Webの世界的なモニタリングネットワークにより、いち早く新種のマルウェアを発見し、最新のパターンファイルを提供できることや、ネットワークやハードウェアの負荷を最小限に抑えるコンパクトなウイルスデータベース、独自のヒューリスティックテクノロジーによる高い検出力などを紹介。完成度の高いインターフェース、プログラムのオートアップデート機能などにより、簡単に初期設定と運用ができる証として、 67%のユーザがテクニカルサポートを必要としないほど運用に関するトラブルが発生していないという説明に、参加者は興味深く聞き入っていた。
製品紹介2【e-Learningシステム『Glexa』グレクサ】
弊社と業務・資本提携関係にある株式会社VERSION2が開発し、今秋から弊社が販売開始したe-Learningシステム「Glexa」(グレクサ)について、株式会社VERSION2の大西昭夫社長(札幌会場)、弊社福岡営業所長:上原和敏(福岡会場)から製品紹介を行った。
「Glexa」はGeneral Learning EXpreience Architecure から名付けられており、「学習体験」をテーマにした、ブレンディッドラーニングを意識したLMSであること、マウスドラッグや入力設定の最適化により最低限の操作で教材作成を可能とした「簡単な操作」や、Webブラウザだけを利用して音声や動画を使った教材を作成・利用することができたり、画面上の問題に答えるだけでなく解答を録音してそのまま提出できる「今までにない学習体験」をテーマに開発していることなどを紹介。 LMSの基本機能に受講用プラグインをインストールすることで、Quiz機能をはじめ様々な学習が行えるが、特に、動画に問題や字幕を自由につけることができる「Motion」や、電話を使った疑似発話によりバリエーション豊かな会話練習ができる「Phone」のデモンストレーションは、参加者の注目を集めていた。
今回、初の試みとして開催した「CHIeru エデュケーショナル・セミナー2011『文教市場における政策動向と課題』」であるが、セミナー参加者に協力をいただいたアンケートでは、定量的には、セッション1:小中学校市場が「満足している」「ほぼ満足している」と回答した方が95%、セション2:大学市場が同86%という結果であった。製品紹介1:Dr.WEB、製品紹介2:Glexaの内容に関しては、全員が「よく理解できた」「ほぼ理解できた」という回答であった。
二つのセッションに対する意見・感想では、「非常に参考になった」「普段なかなか聞けない話を聞くことができて良かった」「切り口の違う営業を考えることができた」という評価の一方で、「より具体的なビジネスシーンが聞きたかった」「ビジネスチャンスになる範囲を分かり易くしていただけるともっと良かった」「予算とビジネスチャンスの関係についての説明をもう少し聞きたかった」という指摘もいただいた。
今後、参加いただいた方々からの意見・感想を踏まえ、セミナー内容を更にブラッシュアップして、「CHIeru エデュケーショナル・セミナー」の開催を重ねていきたい。
開催情報
2011年10月20日(木) 於:ホワイトキューブ札幌
2011年10月27日(木) 於:博多バスターミナル貸ホール
2011年10月28日(金) 於:天王洲セントラルタワー