Case Studies

2週間前にすべての小学校に「フラッシュ型教材」を全巻導入 笠岡市の『ICT活用による授業改善のための研修会』を視察して

2013/06/03

小中

笠岡市教育委員会(岡山県)主催の『ICT活用による授業改善のための研修会』が、5月29日、笠岡市立大井小学校において、堀田龍也先生(玉川大学教職大学院教授)を招き、小・中学校の校長をはじめ、先生方80余名が参加して盛大に行われた。

「フラッシュ型教材」と「実物投影機」を全教室に配備

 笠岡市教育委員会では、昨年8月、『笠岡市「確かな学力」育成プロジェクト』による授業改善のための資料(A4判・60頁)を作成し、「授業改善」に取り組んでいる。

 その一環として、ICTを活用した授業改善にも積極的に目を向け、これまでに実物投影機を各教室に配備し、4月下旬には、教科書対応の『フラッシュくりかえし漢字ドリル』、『フラッシュくりかえし計算ドリル』をはじめ、『フラッシュ基礎・基本』『フラッシュ英語』等の市販版「フラッシュ型教材」を全巻、18校すべての小学校に導入した。

 この日の研修会は、前半で、実物投影機やフラッシュ型教材といったICTを日常的に活用している授業のようすを公開。後半は、堀田先生による「学力向上を支える日常授業の改善」と題した講演が行われた。

公開授業では、各クラスで「フラッシュ型教材」を有効に活用

 公開授業は、3年算数、4年国語、6年算数の3クラス。いずれの教室でもフラッシュ型教材と実物投影機を授業場面に応じて有効に活用されていた。

 「フラッシュ型教材」は、いずれも授業のはじめの5~10分間、導入して間もない教科書対応の『フラッシュくりかえし漢字/計算ドリル』が使われ、既習の習得を確かめることで使用されていた。子どもたちが大きな声で張り切って答え、子どもが自ら操作して進めるなど、授業の冒頭で、活気ある教室づくりが実現されていた。まさに、シンプルで、基礎・基本知識の定着に効く「フラッシュ型教材」の特長を活かした利用法である。

 「実物投影機」では、ワークシートや子どものノート、教科書の必要な部分を映し出し、子どもたちの顔が上がって、集中して学習できるようすが伺えた。




<公開授業>

「フラッシュ型教材」を突破口に、授業改善を!


 堀田先生の講演では、授業を受ける際の子どもの姿勢、机上のどこに何を置くかの徹底などの日常の生活習慣の重要性をはじめ、学習指導要領改訂の背景には、PISAの結果、アジア諸国の中でも日本が下位に位置していることが影響していること、また、平成24年度の全国学力・学習状況調査による岡山県、さらに笠岡市の現状が示されるなど、多岐にわたる具体的なお話に、参加された先生方は、真剣な表情で聞き入っていた。

 講演後半は、「フラッシュ型教材作成ワークショップ」。基礎・基本知識の習得に効くフラッシュ型教材を先生方が実際に作成・体験するコーナー。4人一組でグループを作り、堀田先生の指示にしたがって作成していく。どの教科のどんな教材にするかの協議では、あちらこちらで歓声が上がる。そして、班長がグループの自信作を他のグループに披露するシーンでは、それこそ会場全体が大歓声に包まれた。




<フラッシュ型教材作成・体験>

 堀田先生からは、「フラッシュ型教材は、新出事項を説明するものでなく、既習事項を習熟させるための教材です。1つの教材の問題は10問程度。易から難へと難易度をアップさせるように並べます。同じ25分でも、毎日5分の方が効果的です」と、フラッシュ型教材活用のコツを伝授された。

 最後に、「日常的なフラッシュ型教材の活用を突破口にして、基礎的・基本的な知識・技能の習得を図る”授業改善”に取り組んでください」と話され、研修会は、大盛り上がりのうちに終了した。

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