Case Studies

フラッシュ型教材を使うと、子どもの顔がよく見える。”ほめる”機会が増える!

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 八戸市立根城小学校では、全学級、さらには音楽室や理科室にパソコン、プロジェクター、実物投影機といったICTの設備が整っている。きっかけは、石井一二三先生の行う授業だった。ICTを取り入れた授業に子どもがどんどん引き込まれていく様子を目の当たりにした佐々木弘校長は、全クラスへの導入を決断したという。そんな石井先生の授業の魅力を探るべく、取材にうかがった。

既製のフラッシュ型教材と自作の教材をミックス!

p13_15_MUSIC2.jpg 石井先生が担任を務めるのは2年3組。「いつもは授業の最初にフラッシュ型教材を使ってウォーミングアップをしてから、その日の課題に入ります。さらに実物投影機やデジタル教材を使って説明して、最後にまた、フラッシュ型教材で復習して締めくくります」ということだが、この日は取材ということで、フラッシュ型教材をメインにした特別バージョンで授業を行っていただいた。
 まずは音楽からスタート。『小学校のフラッシュ基礎・基本』を使い、「楽器の名前」をフラッシュする。石井先生が「楽器の名前、やるよ!」と呼びかけると、子どもたちは大きな声で「はいっ!」と答え、楽器のイラストを見て名前やその音色を答えるという問題をテンポ良くこなしていく。
 声を出して勢いがついたところで、鍵盤ハーモニカの練習に移る。スクリーンには鍵盤の模式図が映し出され、どの鍵盤を弾けばよいのかがひと目でわかるようになっている。これは石井先生自作の教材だ。次に練習した『カエルのがっしょう』の輪奏では、スクリーンを左右に二分割して、先に演奏するパートと後に続くパートの2つの模式図が映し出される。子どもたちはときどきスクリーンを確認しつつ、一生懸命に練習していた。最後に行ったのが、音楽会で発表する『ひょっこりひょうたん島』の練習。石井先生いわく「高学年レベル」というこの曲も、腕前はかなり上がってきているようだ。その間、石井先生は太鼓を片手に「いいよ、その調子!」と声をかけながら教室内を歩き回り、子どもたち一人ひとりの様子をさりげなくチェックしていた。

子どもの意欲や自信は褒めることで大きくなる

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 次に見せていただいたのが、算数の授業の様子。『小学校のフラッシュ基礎・基本』「数と計算」で、「何十の計算」に取り組む。今回は一人ずつもしくは列ごとに当て、「30+10」などの計算を答えさせる。そして、正解したときには必ず、「○○さん、よくやった!」「さすが!」「すごい!」としっかりと褒めることを忘れない。「褒められて嬉しくなって、もっとやろうと意欲も湧くし自信もつくんですよね。でも、ただ褒めればいいというわけではないんです。根拠のない褒め言葉は子どもにも響きません。問題が解けたから褒められた、というところが重要なんですよね」と石井先生は語る。全員に向けた褒め言葉ではなく、個人個人に向けられた言葉だからこそ、子どもたちのモチベーションも倍増するのだろう。
 実はこの日、石井先生には嬉しいニュースがあった。2年3組には特別支援学級に通っている子どもが二人いるのだが、その二人が「何十の計算」の問題に答えることができたのだ。「驚きましたし、とっても嬉しかったですね。本人たちの自信にもつながったと思います。フラッシュ型教材は、このような子どもたちにとっても、大変効果的なものだと思います」と石井先生は喜びを語ってくれた。

クラスに一体感が生まれ、良い雰囲気になる

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 続いては国語の授業。『小学校のフラッシュ基礎・基本』「ことば」の「はんたいのいみのことば」に取り組む。石井先生は、どの教科のフラッシュを行うときにも、問題文から子どもたちと一緒に読み上げる。また、問題の1セットが終わると、フラッシュ型教材のキャラクターである「フラッシュマン」が「カンペキ!」「さいこう!」「よくできました!」と言って現れるのだが、そのときのポーズを全員で真似することにしている。こうした要素を取り入れることでクラスに一体感が生まれ、みんなで勉強しよう、という良い雰囲気になるのだという。
 国語が終わったところで、10分間の休憩に入る。終業の挨拶が終わった途端、子どもたちは四方八方にと駆け回った。「元気すぎて落ち着きのないクラスというのが、四月に学級を受けもった時の印象でした」と石井先生。しかし、フラッシュ型教材をはじめとしたICTの活用を進める中で、子どもたちの学力も確実に底上げされ、生活態度も次第に落ち着いてきたという。「とはいえ、このクラスの元気さ、エネルギーは特別ですね。さらにフラッシュをやると子どもたちのエネルギーは大爆発です」という石井先生だが、子どもを愛して止まない気持ち、そして子どもに負けないほどのエネルギッシュな精神が、子どもたちを良い方向に向かわせているのだと強く感じた。

学年を越えた復習にフラッシュ型教材は最適!

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 休憩を挟んだ後は、食育の授業。来春からの新学習指導要領でも重要なテーマとして位置づけられている食育だが、授業の進め方は通常の教科以上に難しい。そこで石井先生は、『小学校のフラッシュ食育』を活用している。この日のテーマは「食文化と食生活」で、日本の伝統行事名とその月、そしてその行事に関わる料理を覚えること。まずはフラッシュに取り組み、後半はグループに分かれて並べ替えやかるたゲームで競い合う。思うように取れなかった悔しさから涙する子どももいるほど、かるたゲームは白熱。「土用の丑の日」「お彼岸」など、あまり身近でないものについては子どもたちも少々戸惑っていたようだが、行事名×月、行事名×食べ物、食べ物×月…とさまざまな組み合わせで出される問題をこなすうちに、解答スピードも上がっていった。
 「フラッシュ型教材を使うことで、教員の負担もかなり軽くなります。教材はくり返し使えますし、データを印刷すればカードや掲示物も簡単に作成できます。授業の準備にかかる時間が少なくなり、その分を他の業務に回せます。これは結局、子どもたちの手厚いサポートにもつながるんです」と石井先生は語る。
 根城小では、学校の授業でも家庭学習でも、復習に重点を置いた指導を行っている。復習をくり返すことで力をつけるというモットーに、フラッシュ型教材はぴったりなのだという。「例えば、6年生が5年生の内容を復習するというのは、子どもたちにとっては、『どうしてそんなことをやらなきゃいけないのか』ということになるんですが、フラッシュ型教材だと抵抗感がなくなるんです。高学年になればなるほど、学年を越えての復習が重要になるので、今後はさらに活用の場を広げていきたいと考えています」と石井先生。

 すでにすべての教員がICTを使いこなす根城小。次の目標は、フラッシュ型教材やデジタル教材など、パソコンを活用した授業を行える教員をさらに増やすことだ。根城小のICT先駆者である石井先生の挑戦は続く。

ICTは、子どものモチベーションを高める
最適のツールだと実感!

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佐々木 弘 校長先生

 ICTを使った石井教諭の授業を見学したときに、子どもたちがどんどん乗ってくる様子を見て、これはいいなと思ったんです。予算の問題もあり、最初は学年に1セット程度だったのですが、PTAなどからも協力を得て、全クラスに導入することができました。どのクラスでもとてもよく活用していますし、何よりも子どもたちの顔つきが違うので、いい買い物でしたね(笑)。
 ICT導入の目的は、子どもたちの学力を上げることではありません。もっとやってみたいという意欲や、物事に前向きに取り組む姿勢を生み出したいのです。わかる喜びを実感できるICTは、子どものモチベーションを高めるための最適なツールだと実感しています。

 本校では校内研修の中で授業研究を年6回行い、その中でICTの活用方法について毎回取り上げ、教員同士がシェアできるようにしています。今後はさらに工夫を重ねて、学校全体で盛り上げていきたいと思っています

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