「フラッシュ型教材は、授業の名脇役」そんなことを実感する授業だった。前橋市立桂萱東小学校4年1組、笠原先生の理科の授業「冬の星の動き」について。「いつも通りの授業です」と笑顔でおっしゃる笠原先生の授業を参観した。
「いま」習得させておきたいから_x0003_フラッシュ型教材を使う
授業は、子どもたちが各自で行ったオリオン座の観察の結果について発表し合うことから始まった。自分の観察ノートを見せながら、観察してきた結果について発表する。どの子のノートにも、オリオン座が時間とともに動いていくようすが書かれていた。「『時間とともに、星の並び方は変わらないけれど、位置は変わる』ということや、『星にはいろいろな明るさや色がある』ということは、夏に一度勉強しているんです。でも、子どもたちは『夏がそうなるから冬も同じようになる』とは、単純にはいかないんです」と笠原先生は言う。子どもたちの観察結果を共有した後、笠原先生は星座早見を見せながら、一時間ずつ動かし、観察結果が正しいことをクラス全員で確かめた。
ここで笠原先生は『フラッシュ基礎・基本』を使って、さらなる定着を図る。「月と星の動き」の教材を使って、「星は時間がたっても位置も星のならび方も変わらない」「星の色は、青、白、赤っぽい色などいろいろなものがある」などの問題に対して、○×で答えさせる。一回目は間違えてしまった子も、何度も繰り返していくうちに間違えなくなる。「繰り返し」の効果が見事に表れていた。
そして、夏に学習した「夏の大三角」や最近学習した「冬の大三角」の名前も『フラッシュ基礎・基本』で復習し、カードゲームに取り組む。カードに「夏の大三角」と「冬の大三角」の星座をひとつひとつ書き、6枚のカードを用意する。それをグループ全員分混ぜて並べ、1人3枚ずつ交代でカードを取る。もし、「夏の大三角」や「冬の大三角」がそろえばそのカードをゲットすることができる。「ああー」と悔しがる子、いきなり3つそろって大喜びする子など、子どもたちは大興奮。最後に、たくさんのカードをゲットした子どもをみんなで称え、今日学んだことをふり返ったところで授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
フラッシュ型教材はベテラン教師も初任者も使える
そんなフラッシュ型教材だが、ベテランの先生だからこそ使えるものではないのだろうか。その点についても笠原先生に伺ってみた。「フラッシュ型教材に関しては、まったくそんなことはないです。単純だし、やり方もシンプルだから。提示するスピードや問題の順番に気をつければ、失敗はないですよ。それに、『フラッシュ基礎・基本』は、フラッシュに適したものだけが入っているから、『フラッシュ基礎・基本』を使っていく限りは、誰がやっても同じようにできると思います。隣のクラスの初任者の先生も使っているし」と、ご自身以外の事例も交えて話してくれた。桂萱東小学校の公開授業では、必ずどのクラスでもフラッシュ型教材が使われているとのこと。自作した教材を使うこともあれば、『フラッシュ基礎・基本』を使う場合など様々だが、使うことをためらう教員は誰もいないという。
さらに、自作した教材は校内サーバで教科や学年ごとに分けて整理され、いつでも使えるようになっているとのこと。「フラッシュ型教材は、クラスでも学校全体でも普通のこと。特別なことではありません」とさらりと笠原先生は言う。
また、笠原学級では、3学期から「フラッシュ係」なる係活動を始めたとのこと。「始業時間の3分前、私が教室に行くまでの時間を使って、係の子が選んだフラッシュをやっておいてもらうことにしました。教室にはデジタルテレビが常設されているので、それを『フラッシュ専用テレビ』にして、パソコンも常に接続しておいて、やり方を子どもに教えました。毎朝、係の子が『フラッシュ基礎・基本』の中から好きな教材を選んでフラッシュをしています」授業で活用するだけでなく、授業の合間のちょっとした時間に、しかも先生ではなく子どもも使う。まさに、「フラッシュ型教材活用のすべてがここにあり」といった印象だ。
有料の教材を使うメリットは準備の軽減
フラッシュ型教材は、eTeachersを利用するなどして自作することもできる。では、わざわざ有料の教材を購入して活用するメリットは何だろうか。「子どもの実態や授業内容に合わせて、教材を自作することが一番いいと思うけれど、時間と手間はかかる。『フラッシュ基礎・基本』なら、全教科で、フラッシュ型教材に最適な内容がすべて網羅されているから、準備しなくてもいいので、日常的に手軽に使えるんですよね」と答えてくれた。
毎日たくさんの仕事を抱え、1分1秒が貴重な小学校の先生にとって、必要な教材がひとつにまとまっていて、準備の手間がないことのメリットは、想像以上のものだろう。
一度にたくさん、ではなく毎日少しずつやるのが大事
これからフラッシュ型教材を活用しようと思っている方はまず何から始めればよいのだろうか。そう尋ねると、笠原先生は、失敗談も交えて次のように話してくれた。「まずはやってみるといいと思うんです。漢字の読みとか、ローマ字とか、読むだけのものは一番簡単で、すぐ覚えられるからおすすめ。失敗もないです。でも、気をつけなければいけないことがひとつ。フラッシュ型教材に取り組むと、子どもたちは『もっとやりたい!』って必ず言うんです。だけど、その声につられてもっともっとやっていると、最後は必ず疲れた感じになってしまうんです。子どもたちが『もうちょっとやりたい』っていうところでやめる。一度にいっぱいやるのではなくて、毎日少しずつ。これがコツです」
笠原学級では、フラッシュ型教材は特別なものとして授業に組み込まれるのではなく、すでに当たり前のものとして、授業に「馴染んで」いた。それは笠原学級に限ったことではなく、桂萱東小学校全体で、初任者もベテランもフラッシュ型教材の活用が日常化していると言う。今後、桂萱東小学校のような学校が増えていくことを期待してやまない。
フラッシュ型教材はウォーミングアップに最適。
学習に向かう姿勢ができる。
市の方針のもと、デジタルテレビなどの機器が教室に完備されました。本校の教員はかねてからICTを活用した授業を行っており、フラッシュ型教材についてもすでに日常的に活用しています。新しく赴任してきた教員も、周りの教員に教えてもらいながら活用を進めています。
フラッシュ型教材は、授業の導入で取り組むと、子どもたちの学習に向かう姿勢ができます。その結果、スムーズに授業に入ることができるので非常に効果的だと感じています。また、授業中になかなか発言できない子もいます。しかし、そんな子にも発言の機会を与えることができるという点で、フラッシュ型教材はとても有益な教材だと思っています。