山形県:米沢市立南原中学校 金 隆子
【子どもがノリノリ!フラッシュ型教材の活用】
フラッシュ型教材の活用−中学国語の実践から−
1、はじめに
伝え合う力の育成を目指す国語科の学習においては、学ぶ意欲を持たせるために「話す・聞く」「書く」「読む」の各領域に学びの必然性を与えることが必要だと思っている。話したくなる場、聞きたくなる場、書きたくなる場、読みたくなる場が提供できれば自ずと生徒の目は輝いて、意欲的に学習に取り組む。
しかし、有効な学びを生むためには4領域に加え、それを支える言語事項との関連も大切なポイントとなる。基礎・基本の確実な定着がなければ、豊かなことばの学習は成立しないからである。
音声、語句・語彙など言語生活に関わる事項は、単に知識として学習されるだけでなく、実際の言語活動の中で活用され、生きて働く力として身につけることが指導要領にも示されている。
時間が削減されてからの中で、ともすれば軽く扱いがちな言語事項の学習が、実は大事な学びのベースとなっていることを最近痛感している。
限られた時間をいかに有効に使い、目の前の子ども達に力をつけるかが課題となっている今、フラッシュ型教材の活用からヒントを得たような思いを持っている。
2、実践例から(中学3年)
〜プロジェクターを使った提示で集中。短時間でテンポ良く、明るく〜
- フラッシュは集中できるので、プリントを使うよりずっとはやく覚えられる。
- 声を出すのは恥ずかしいと思っていたけれど、みんなで読むと楽しいし、だんだん声が出るようになってきた。
- 短い時間なので飽きない。みんなが声を出していると教室が明るくなる。
- 読めるようになるともっと読みたいと思うし、内容もわかるようになることがわかった。
- 漢字を覚えるのも、文法も古典もめんどうだと思っていたけど、集中してみんなと読んでいたらそうでもなくなってきた。
活用の成果 ベスト4
- 顔が上がり、画面に集中し、緊張感が生まれる。
- 読む力が内容の理解を促す。
- 教室が活気づき、自信のない生徒の引き上げにつながる。
- 指導時間が短縮でき、学習に余裕が生まれる。
3、おわりに
「中学生は声を出さないのではなく、声を出させる訓練をしていないだけだ。」最近、最も心に響いた言葉である。中学生は思春期だから、声を出さなくなって当たり前という考えが払拭された。学年が上がるにつれて声を出さなくなるのは、指導法に起因していることを考えさせられたからだ。できないのが当然という考えは指導者側の言い訳であり、手だてを講じればどの子も伸びていくのだということを改めて感じた言葉であった。 本校の生徒の課題である思考力と表現力の育成、国語科の4領域1事項の効率的な関連、それらを解決する糸口がフラッシュ型教材の活用から見えてきた。 与えられた時間の中でいかに個々の力を高めるか。そのために単元をどう構成し、単元を組み立てる1時間をどう進めるか。分刻みの見通しを持って指導にあたることが大切だが、フラッシュ型教材はそこに有効に効く手応えを感じている。 力の付く授業はテンポの良い授業。まずは声を出して読ませることの必要性。まず読む、読めないとその先には進めない。周りが読んでいると、読めない生徒も声を出すようになり教室が活気づく。互いに支え合い高め合う教室の雰囲気は、このような小さな積み上げからできるのではないかと生徒の姿から感じている。まだ短期間の取り組みではあるが、各単元で工夫ができそうである。これから3月までは、入試対策にフラッシュを活用していく予定である。
※このページは2007年1月20日に開催された情報教育対応教員研修全国セミナーでの指導案を元に作成されたものです。