Case Studies

柔軟なフィルタリング設定やログ分析で端末の持ち帰り学習をサポート

―福島県―
会津若松市教育委員会

会津若松市は「スマートシティ会津若松」を掲げ、さまざまな分野でICTを活用した取り組みを進めている。教育現場では、GIGAスクール構想での端末整備とともに、運用支援ツール『InterCLASS®Console Support』を導入し、現在は、授業支援ツール『InterCLASS®Cloud』、Webフィルタリングツール『InterCLASS®Filtering Service』も利用している。会津若松市教育委員会に活用状況を聞いた。

柔軟なフィルタリング設定やログ分析で端末の持ち帰り学習をサポート
会津若松市教育委員会

会津若松市教育委員会
〒965-0873
福島県会津若松市追手町2番41号
追手町第二庁舎
TEL: 0242-39-1303

ICT推進委員会を設置
校長先生や教頭先生も巻き込む

 福島県西部に位置し、磐梯山や猪苗代湖など豊かな自然に囲まれる会津若松市は、鶴ヶ城や白虎隊といった歴史的背景を有する国内有数の観光産業に加え、赤べこや日本酒などの特産品も知られる。近年は、地域産業の成長や雇用の維持拡大などの経済効果を生み出すべく、「スマートシティ会津若松」を掲げ、健康や福祉、教育、防災、交通など生活のさまざまな分野でICTの活用を推進している。

 「会津地方は、『稽古堂』『日新館』にみられるように古くから教育に力を入れてきました。その精神は会津の伝統的な規範意識を踏まえた『あいづっこ宣言』に代表され、現在も引き継がれています。市全体としてICTを推進し、未来を見据えた人づくりを大切にしていきたい考えです」と、会津若松市教育委員会 学校教育課ICT推進グループ 主任主事の小久保凌氏は語る。

 現在、同市には17の小学校、9の中学校、2の義務教育学校がある。1人1台端末を整備し始めたのは2020年。「4年ほどが経過し、環境が整ってきたものの、まだまだICTに対して苦手意識を持つ先生は多くいらっしゃいます。意識的に活用しようと努めるのではなく、『日ごろから当たり前に』使う学校現場を目指しています」と、会津若松市教育委員会 学校教育課 主幹兼指導主事の二瓶晋氏は力を込める。

 具体的な取り組みとして、会津若松市教育委員会は先生のICTの活用能力の向上を目指し、2020年度に「教育ICT推進委員会」を設置。各学校からICT推進リーダーを選出した委員会で、定期的に情報交換を行っている。「導入している端末やソフトウェアなどが同じ環境の学校同士で実践事例を共有できるので、『自分たちにもできそうだ』と感じてもらいやすいのではないかと思います。また、それぞれの学校において、リーダーの先生一人だけが旗振り役になるのではICT活用の機運は広がっていきません。校長先生や教頭先生も巻き込んで研修を進めるなど全体での体制づくりも進めているところです」(二瓶氏)

 授業づくりの面では、会津若松市教育委員会 学校教育課 教育ICTアドバイザーの横山譲治氏が、指導主事による学校訪問に同行し、ICT教育のあり方やより効果的な活用方法などについてアドバイスする活動をスタートした。「今の児童生徒が社会で活躍する20年後、30年後は、現在の私たちが想像し得ない世界になっていることでしょう。1990年代にインターネットが普及し始めたころのように、新しい技術を使わないという選択肢はない。これからの時代を生き抜く子供たちのために、現場の先生方、保護者の方、そして地域の皆さまをうまく巻き込みながら、児童生徒の学びを後押ししていければと考えます」(横山氏)

データというエビデンスを基に活用測定や利用方法を検討

会津若松市教育委員会

 では実際に、学校現場ではどのようにICT教育を推進しているのか。同委員会はGIGAスクール構想下、2020年の端末整備とともに運用支援ツール『InterCLASS®Console Support』(インタークラス コンソールサポート)を、2023年に授業支援ツール『InterCLASS®Cloud』(インタークラス クラウド)〈現在は『InterCLASS®Advance』(インタークラス アドバンス)〉を導入している。

 「『InterCLASS®Cloud』のマーキングツールを使用することで、Google Chrome™ ブラウザ画面に自由に書き込むことができ、先生方から好評です。また、『InterCLASS®Console Support』では、クラスや児童生徒情報を一括で登録・更新・削除できるのが非常に効率的です。基本的な機能に加え、『こういう機能があったらいいな』が叶う、痒い所に手が届く製品だと感じています」(小久保氏)

 同市では、児童生徒が端末に触れる機会を増やすため、持ち帰り学習を推奨している。学校外でも有害・不適切なWebサイトをブロックし、安心・安全なインターネット環境を提供すべく、2022年にはWebフィルタリングツール『InterCLASS®Filtering Service』(インタークラス フィルタリングサービス)を導入した。フィルタリングルールは、曜日や時間帯などに分けて設定でき、同市内の学校では夜間の使用を制限しているという。

 危機管理上、フィルタリング対策が不可欠な一方で、有益な情報であれば、本来はブロック対象に設定されているサイトや動画であっても授業内で閲覧させたいということも少なくない。「同製品には先生自身が一定期間、フィルターによるブロックを解除できる『チケット管理』機能があります。教育委員会への申請なしに、学校側でスピーディーかつ柔軟に調整できるのは大きなポイントです」と会津若松市教育委員会 学校教育課 主幹兼指導主事の上野友寛氏は説明する。

 さらに、『InterCLASS®Filtering Service』では、誰が、どの端末から、どのWebサイトにアクセスしたかや、フィルタリングでブロックされた回数などの情報が記録されるログ分析機能もある。「例えば、クラウドのストレージ容量を圧迫しているアカウントがあった場合、それが学習以外の用途で利用されたかどうかはログ分析機能を使うことで確認できます。データというエビデンスを基に端末の活用度合いを測ったり、利用方法を見直したりするきっかけになっていると思います」(小久保氏)。フィルタリングにとどまらないログ分析機能は、GIGAスクール構想第2期に向けたさらなるICT利活用に大いに役立ちそうだ。

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