Case Studies

先を見据えた自主的な取り組みが現場での円滑な活用を実現

―北海道―
千歳市教育委員会

全国の学校でICT導入が急ピッチで進んでいる。新型コロナウイルスの影響でGIGAスクール構想が前倒しとなり各校の取り組みにバラつきが見られる中、千歳市では構想発表以前の2013年からICT関連の計画および事業を推進していたことが功を奏し、現場での円滑な活用を実現している。

先を見据えた自主的な取り組みが現場での円滑な活用を実現
千歳市教育委員会

千歳市教育委員会
〒066‐8686
北海道千歳市東雲町2丁目34番地
TEL 0123-24-0845

市内の学校の先生共有サイトで電子黒板の使い方などフォロー

 人口9万8千人で空の玄関口である新千歳空港が所在する北海道千歳市は、GIGAスクール構想発表以前から学校現場のICT環境の整備に注力してきた。

 GIGAスクール構想発表の1年前である2019年時点で、その当時はあまり認知度が高いとは言えなかった Chromebook™ の導入検討をスタートしたほか、文部科学省が当時発表していた整備方針に沿った整備計画を千歳市として策定していた。

 「先を見据えた自主的な計画に基づいてICT環境の整備を進めてきたことで、GIGAスクール構想が発表された際も慌てることなく予定通りの整備ができました」と、千歳市教育委員会教育部企画総務課企画係の中川幹都係長は語る。

先生をサポートする千歳市ICT情報局のトップページ
先生をサポートする千歳市ICT情報局のトップページ

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響でGIGAスクール構想が前倒しになり、端末の選定や活用、環境整備などに苦慮する自治体や学校もあった中で、千歳市の先生は自分たちのペースを保ちながらスタートを切ることができた。

 教育委員会においても、市内の全小中学校の先生を対象に夏休みと冬休みの年2回の研修会を開催。コロナ禍において実地で研修会が開催できない時は、電子黒板の使い方などを動画で撮影し、マニュアルとして活用できる先生専用のサイト「千歳市ICT情報局」でフォローした。

二次元コードでログイン可能な低学年の児童に優しい設計

 千歳市では、子供が使う端末には Chromebook を導入したが、先生に配布するタブレットはデジタル教科書との相性からWindowsと決めていた。「Chromebook とWindowsの双方に対応可能であることを必須条件に授業支援ソフトを探していたところ、InterCLASS®for Chromeを提案いただきました」(千歳市教育委員会教育部企画総務課 総務係兼企画係 主事の松川慎氏)

 Chromebook の導入の際には、アカウント設定を先生と教育委員会のどちらが行うか議論になった。「当時意見が分かれてなかなか決まらず、加えて Google のツールはマニュアルが英語で、どちらが担当するにしても難しいと悩んでいました。しかし、InterCLASS®Console Supportであれば日本語でのアカウント登録が可能ということで、結局新年度当初のデータ作成は教育委員会が担当することで決着しました。また、低学年の児童がログイン時のパスワードを覚えるのは大変ではないかという意見も出ましたが、InterCLASS®Console Supportは二次元コードでログインできる児童に優しい設計のため、皆が納得して採用を決めました」(中川氏)

 千歳市は、日本トップクラスの大規模校を抱えており、ICT活用に伴う通信回線への負担の懸念もあった。この点についてはTbridge®の導入で、通信速度の遅延を最低限に抑えることができた。

オンラインの特性を生かした持ち帰り学習を研究

 Chromebook を導入して以降、実際の授業でICTが浸透してきているとともに、持ち帰り学習でも利用を広める動きも出てきている。「2021年までは新型コロナによる学級・学校閉鎖のときの持ち帰り学習に留まっていましたが、現在は平時のICT活用に関する検討を始めています」(松川氏)

 校外へ持ち出した Chromebook にもウェブフィルタリングを行うことができるInterCLASS®Filtering Serviceを活用して、不適切なサイトへの接続を制限し、22時から朝の6時までは全てのウェブサイトへの接続を制限している。今後は、子供がどのようなサイトを活用しているかを把握できるように、ログの追跡機能を搭載した製品を検討したいと松川氏は語る。

 持ち帰りの促進とともに、自宅での端末の利用方法についても改善策を模索している。「これまでは、Google Workspace for Education 上に先生が宿題などを共有し、子供は回答したものを再び共有スペースに戻すという、紙媒体で行っていたことを再現しているだけでした。将来的には、学習ドリルの導入や不登校など事情を抱えた子供向けの授業の配信など、ICT環境が整っているからこそできる取り組みを広げていく必要があると考えています」(中川氏)

 学校現場からは、Chromebook の使い方を知るために先生用のChromebook 配布を要望する声が挙がっていると言う。さらに、MEXCBTや学習イーポータル、全国学力テストのオンライン化など今後のトラフィック増は避けられず、ネットワークの安定化と可視化の必要性も高まっているため、限られた予算の中で効果的な取り組みを模索し、総合的に検討していきたいと語る。

 「端末を有効活用した授業改善により子供の理解度を深める取り組みを継続的に行っていただきたいと思っています。そしてそのような取り組みが先生の中で共有できればよりよいと感じています。教育委員会はこれからも、情報提供や研修会などの企画を継続的に行っていきます」(中川氏)

※Chromebook はGoogle LLC の商標です。

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