Case Studies

多彩な個人情報系と校務・学習系アプリのアカウント作成や管理が容易に

―東京都―
千代田区教育委員会

東京都千代田区では2021年9月、ICT環境のリプレースを行い、セキュリティ対策の強化、利便性の向上、操作性の向上などを推進している。個人情報システムとExtraConsole®ID Managerの連携で、計16種類の個人情報系と校務・学習系アプリの円滑なアカウント作成や管理を実現した。

多彩な個人情報系と校務・学習系アプリのアカウント作成や管理が容易に
千代田区教育委員会

千代田区教育委員会
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東京都千代田区九段南1-2-1
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ユーザーIDやパスワードの乱立を防ぐことができる

 東京都千代田区の学校教育システムは、長年にわたり独立した校務系と学習系の2本立てだった。それぞれ外部の異なる企業が保守していたため、校務系と学習系にまたがるトラブル対応に手間取るなどの問題を抱えていた。千代田区は校務系と学習系の統合に着手し、2021年9月に2つを合わせた「区立小中学校ICT学校教育システム」が始動した。

 千代田区のGIGAスクール構想をインフラとして支える新システムは、個人情報系、個人情報外部系、校務・学習系の3つの基盤で構成。文部科学省の教育情報セキュリティポリシーに則り各基盤ネットワークは分離している。

 ExtraConsole®ID Managerは、複数のサーバーやアプリなどのIDを統合し、Webベースのユーザーインターフェースで一元管理可能な統合ID管理システムだ。異なるサーバーやアプリなどに個別にIDを追加する必要がないため、さまざまなユーザーIDやパスワードの乱立を防ぐことができる。新システム始動以降、千代田区では、校務支援システムで作成・更新した児童・生徒情報はExtraConsole®ID Managerに自動的に反映され、追加の作業をしなくても児童・生徒のアカウントを作成できるようになった。教職員IDもExtraConsole®ID Managerから校務支援システムに自動で反映でき、ICT環境における事務作業の利便性が大幅に向上した。

教職員や教育委員会担当者の働き方改革にもつながる

 ExtraConsole®ID Manager導入の背景には千代田区特有の事情もあった。区内には小学校8校、中学校2校の区立学校があり、児童・生徒は約4000人在籍している。「私たちはGIGAスクール構想以前から、教育のICT環境の整備を行うなど学校の情報化を進めてきました。一方、ICT機器の効果的な活用や子供と向き合う時間の確保などの課題もありました」(千代田区教育委員会事務局 子ども部指導主事の相場奨太氏)

 特に、教職員と教育委員会の悩みが、「年次更新」と呼ばれる年度末のアカウント作成・管理作業だ。「千代田区は教員から『このアプリで授業をしたい』との申し出に積極的に対応してきました。その結果、アプリ数は一般の学校では3~4種と言われる中、千代田区では、校務系や採点サポートなど教員のみが利用するアプリが4種、児童・生徒が使う学習系アプリが12種の計16種になりました。英語のアプリなど学年限定のものもあります。それぞれのアプリに、対象の児童・生徒と教職員のアカウントを正確に紐づけます。このアカウント管理作業を、年度末から新年度初めの2カ月程度でほぼ終わらせなければなりません」(千代田区教育委員会事務局 子ども部指導課管理係の田中慎太郎氏)

 ExtraConsole®ID Managerと連携した区立小中学校ICT学校教育システムの稼働以前は、教職員は児童・生徒一人につき、全てのアプリについて校務系と学習系でアカウントの作成・管理作業が求められていた。教育委員会でも、旧システムの保守を担当する外部企業2社との間で、新年度のアカウント情報が正しいか膨大なチェック作業が発生していた。

 「しかし、ExtraConsole® ID Managerを導入したことで、個人情報系基盤のユーザー情報が各種アプリをはじめ校務・学習系基盤に連携されるようになりました。それにより、アカウントの作成・管理もアカウント情報のチェックも個人情報系基盤ネットワークのみ対応すればよいので、教職員や私たちの働き方改革にもつながりました」(田中氏)。現場の教職員は空いた分の時間とエネルギーを子供の指導に振り向け、教育委員会担当者の導入1年目にあたる2022年3月~4月の残業時間は、前年同期間に比べて約40時間も減ったという。

多彩な個人情報系と校務・学習系アプリのアカウント作成や管理が容易に
千代田区の区立小中学校ICT学校教育システムとExtraConsole®ID Managerの連携イメージ

受信したHTMLメールや添付ファイルを無害化

 千代田区教育委員会ではExtraConsole®ID Managerと同時に、情報セキュリティ対策システムのSHIELDEX SaniTrans NetとSHIELDEX SaniTrans Mailを導入した。前者は仮想デスクトップ環境などインターネット用デスクトップ経由のファイルを個人情報系システムに取り込む際に、後者は受信したHTMLメール・添付ファイルに、最先端の無害化処理を行う。SHIELDEX SaniTrans Mailはメール本文に加え、添付されているZIP形式の圧縮ファイルにも対応しているので、個人情報外部系で受信したメールを個人情報系で安全に閲覧できる。

 「素晴らしいICT環境を活用して、区が掲げる『つながる、創り出す、切り拓く Connect, Create, Pioneer ~一人一台からの学びを創る 千代田区ICT授業指針~』の実現を目指します」(相場氏)。現場の教員のやる気を尊重しつつ、ICTで事務作業負担を減らす千代田区教育委員会の取り組みは、GIGAスクール時代のロールモデルと言えるだろう。

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