Case Studies

オンライン化に素早く対応! オンとオフの良さを生かして

―福岡県―
筑紫女学園大学

継続的に進めていたICT環境整備により、オンライン化に素早く対応できた福岡県の筑紫女学園大学。オンライン/オフラインにおける今後の人と社会のつながりや大学の取り組みについてお話を伺った。

オンライン化に素早く対応!オンとオフの良さを生かして
感染予防対策の施された演習室
筑紫女学園大学

筑紫女学園大学

〒818-0192 福岡県太宰府市石坂2丁目12-1

1907(明治40年)、教育による女性の地位向上を目指して、私立筑紫高等女学校として開校。「浄土真宗の教えにもとづく人間教育」を建学の精神とし、校訓は「自律」「和平」「感恩」。
教育・研究・社会連携を三つの柱とした大学運営に取り組んでいる。

ICT環境整備を進める中でのコロナ禍

 筑紫女学園大学は、女子の高等教育機関として歴史ある大学だ。現在、地域の他大学・企業との連携にも積極的で、「学生の発想を生かし、やりたいことを後押しして、それが地域に広がっていくようにと考えています」と副学長の小野望氏は語る。

 LMSとしてMoodleを活用し、昨年3月にはMicrosoft365の導入をするなど、同大学はICT環境の整備を継続的に進めてきた。

 その中でコロナ禍に見舞われた同大学では、授業を対面からオンライン、オンデマンドへ素早く切り替えることに成功した。Moodleはオンデマンド授業のみの対応だったが、Microsoft365により、オンライン授業も可能となった。また以前から進めていたWi−Fiのアクセスポイント増設により、複数の教室からオンライン授業を同時配信できたという。パソコンやルーターを持っていない学生には貸与するサービスなども行った。「以前からある程度整備していたおかげで、奇跡的にコロナ禍を乗り越えられました」と小野氏。

 4月の非常事態宣言から2週間後には早速オンラインやオンデマンドの授業を開始した。「教員同士で動画作成の講習会をしたり、Moodleの使い方を教え合ったりして進めました。私もオンデマンド授業を収録しました。通常の授業に比べて労力がかかり大変でしたが、改めて授業を見直す機会にもなりましたね」

 9月からは半数近くの授業を対面(オフライン)形式で再開。現在も引き続き、オンラインやオンデマンドの授業と併せて実施されている。学生には定期的にオンラインでアンケートをとり、授業内容の改善にも努める。「毎回課題が出されるので、学生は大変だったようです」と小野氏。それでも、学生からは「しっかり学べる」「自分のペースで学べる」というポジティブな感想もあったという。

BYODへ向けたICT環境を

 同大学では、コロナ禍においても、人と人のつながり、社会とのつながりを重視している。

 「本学では、“ソーシャルディスタンス”ではなく“フィジカルディスタンス”と言っています。人と人との社会的なつながりは大切であり、オフラインとオンライン、それぞれにつながり方があるはず。学生には今後の社会のつくり方を模索してもらいたいです。人間社会を考える時、大学の果たす役割は大きいと考えています」

 アフターコロナにおいても、対面授業を大事にしたいと小野氏は語る。「大学は授業を受けるだけの場所ではありません。皆で過ごし、一緒に物事を考える時間を大切にしたい。今後も対面授業を大前提として検討を進めています」

 その一方、オンラインの活用も積極的に進めていく。

 「コロナ禍で、オンラインの発展性を感じました。遠隔地にある企業や他大学との連携もその1つです。昨年はスウェーデンの学校とオンラインでつないだ授業もありました。そういった国際交流も含め、オンラインを活用していきたいです。また今後は、教員や学生からもいろいろなアイデアが出てくることでしょう。それらを共有し合い、お互いに協力しながら進められるといいなと思っています」

 同大学では、ICT環境の整備を今後も進めていく。「学内のどの教室でもWi−Fi接続ができるように、通信環境の拡充を考えています。以前は、学生を授業に集中させるために教室内ではWi−Fiがつながらないようにしていましたが、これからは『学生が集中できるような授業づくり』を考える時代です」

 現在、パソコン60台が並ぶ教室が4部屋あるが、今後は学生の1人1台環境を見据えた整備を検討している。「学生にはそれぞれパソコンを用意してもらい、自宅でも大学でも使える形にしたいですね。BYODの実現とともに、大学としても、さらにICT環境の拡充を目指します」

 オンとオフ、両方の良さを生かした教育を同大学は目指していく。

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