―東京都―
学校法人 呉学園 専門学校日本デザイナー学院/日本写真芸術専門学校
写真系・デザイン系の制作活動を含む講義において、効果的にオンライン授業を取り入れる方法を模索する専門学校。対面授業だけでなく、eラーニングを日々の学習に組み込みたいという長年の構想が今、活かされている。
学校法人 呉学園
専門学校日本デザイナー学院
日本写真芸術専門学校
〒150-0031
東京都渋谷区桜丘町4-16
"Real Education"を教育理念として掲げ、常に時代に即した実践教育をモットーとする専門学校。デザイン、写真、各分野の第一線で活躍するクリエイターを輩出している。
数年来の構想がカタチに
学校法人呉学園が運営する専門学校日本デザイナー学院と日本写真芸術専門学校がGlexa(グレクサ)の導入を決めたのは、今年の3月のことだ。コロナ禍で、専門学校においてもオンライン授業の必要性が生じたことで導入を急いだが、その背景には、学校側が数年来描いてきた「通常授業(対面)+α(eラーニング)」の構想があった。
「動画教材をいつでも見られるようにしておけば、予習をした上で授業を受けたり、授業で理解できなかったことを動画で復習したりと、学生の理解力や習熟度が高まるのではないか、また長期欠席している学生も学校に戻るタイミングが掴みやすくなるのではないか、という思いがずっとありました」と語るのは教務課の古市氏。本来であれば、今後2年ほどかけて、ICT環境を整える予定だったという。
導入決定からのICT環境構築、全講師対象の勉強会などを経て、実際に授業でGlexaの使用を開始したのは、およそ3ヶ月後の6月初旬。その間は、動画投稿サイトに事前学習用の授業動画をアップし、学生に視聴を促すことで、切れ目のない学びを目指した。
「以前から構想があったことで、オンラインへの移行は意外なほどスムーズでした。デザイン系や写真系のクリエイティブな先生方の協力で、学びやすい動画をすぐに作れたのも本校の強みです」(古市氏)
オンデマンドの動画を組み込んだリアルタイムのオンライン授業
6月からスタートした小西先生のオンライン授業の進め方の一例を挙げる。あらかじめ撮影した授業動画は、学生の集中力やインターネット環境を考慮し、1本が10〜15分となるように編集。1コマ2時間20分の中で、6〜8本の動画を用意する。
一般的な動画投稿サイトと異なり、Glexaの場合は、各学生が今どの動画を見ているか、進行具合がリアルタイムに把握できるため、授業が進めやすいと小西先生は言う。
課題の進捗を掲示板機能で共有
デザイン系の授業では課題制作が多いため、Glexaの掲示板機能(Forum)が役立っている。例えば学生が自分の作品をForum上に提出し、受講生全員で閲覧しながら講評に耳を傾けることでお互いの刺激となり、これまで対面授業で壁に作品を貼り出していたのと同様の効果が得られるという。
また、完成作品だけでなくアイディアスケッチや下描きの段階をForumに提出し、クラスで共有することで、講師による指導やそこからの軌道修正が即座にできると共に、「オンラインだと周りの出来や進捗が見えない」という学生の不安の解消にもつながった。
受講中は前後左右の限られた人の制作過程しか見られなかった対面授業と比べ、全員の途中経過が見られるこのシステムは、学生にとってさらなる切磋琢磨を生み出しているようだ。
対面授業とオンラインの「いいとこ取り」を目指す
「対面授業が一部再開された7月、『オンラインとあまり変わらない』と学生に言われました(笑)」と小西先生。試行錯誤しながら進めてきたオンライン授業の充実ぶりが表れている。「課題の締切を設定できたり、学生の提出状況がすぐに確認できたり、LMSの便利さを強く感じています。今後、対面授業がメインになったとしても、機能は絞りつつ継続して使いたいですね」(小西先生)
実際にオンライン授業でGlexaを使用した学生の感想を紹介する。
「スタジオ機材の使い方など、事前に動画で予習できたため、スムーズに対面授業に移行できた」
「Glexaに動画がアーカイブされているので、例えば、苦手な画像処理については、授業動画を何度も見直しながら自分のPCで作業の練習ができた」
「オンライン配信とオンデマンド配信を組み合わせたハイブリッド授業は、動画だけでなく、リアルタイムに繋がる緊張感のおかげで、集中が途切れることなく授業に臨めた」
「対面だと、わからない部分のメモを取っている間に授業が進んでしまうが、Glexaの動画だと、すぐに戻って2回3回と聞き直して確認できるのが良かった」
「少し実施が早まりはしましたが、当初の計画通りです。対面授業だけでは得られない学習効果や学生の習熟度の向上を目指して、次年度以降も取り組みを続けます」(古市氏)
オンライン授業に一定の手応えが感じられたことで、この先、日本デザイナー学院九州校とのオンライン連携も視野に入れていくという。
ICTを活用しながら、クリエイティブで実践的な学びを提供する専門学校の挑戦に今後も注目したい。