Case Studies

セキュリティ対策で学生の意識向上を ~情報リテラシーの形成を目指して~

―茨城県/千葉県―
流通経済大学

流通経済大学では、2013年に学内無線LAN環境が整ったことで、学生のスマートフォンや持ち込みPCによる学内ポータルサイトなどの利用が日常化している。2018年4月より、学生の個人端末向けのウイルス対策ソフトとして『Dr.WEB』を導入した同大学を取材し、導入に至るまでの経緯や普及の取り組み、学生の利用状況についてお話を伺った。

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流通経済大学

流通経済大学
[龍ケ崎キャンパス]〒301-8555 茨城県龍ケ崎市120
[新松戸キャンパス]〒270-8555 千葉県松戸市新松戸3-2-1

1965年に世界最大規模の総合物流企業である日本通運株式会社の支援により設立された、産学連携を出発点とする社会科学系総合大学。実学と少人数教育、豊かな人間性を育む教養教育に力を注ぎ、社会で活躍できる人材の育成に取り組んでいる。千葉県松戸市と茨城県龍ケ崎市の2つのキャンパスから、入学時に通学するキャンパスを選択できる「キャンパス選択制*」を導入しているほか、学習を支援する教育学習支援センター、海外に関心を持つ学生を支援する国際交流センターなど、教育環境が充実している。*一部例外あり

学内ネットワーク環境として自由に使える無線LANを完備

 将来的な学生のパソコン必携化も視野に入れつつ、段階的に学内の情報基盤とネットワーク環境の構築を進める流通経済大学では、2013年に学内の無線LAN(RKU Wi-Fi)を整備し、全ての学生と教職員に開放している。また、2015年には、学生が忘れたIDやパスワードの再発行、煩雑なログイン作業を解消するため、『ExtraConsole ID Manager』を導入し、学生のID管理を一元化した。現在、学生向けの連絡は、すべて学内の専用ポータルサイトを使って行われている。

 茨城県の龍ケ崎と千葉県の新松戸に2カ所のキャンパスを構え、キャンパス選択制を採用する同大学にとっては特に、学内ネットワークを用いた学生や教職員間における情報連携は必須であり、ネットワーク環境の強固なセキュリティ対策が、ここ数年の喫緊の課題の一つである。

 学生数およそ5500人、教職員を含めると約6千人の規模を誇る同大学では、どのようにセキュリティ対策を進めているのだろうか。同大学で情報基盤の中核を担う情報システム課の青砥光一係長にお話を伺った。

学生向けにウイルス対策ソフト『Dr.WEB』を無償提供

 「セキュリティ対策の一環として、本学では2018年4月より、学生や教職員が個人で所有しているスマートフォンやタブレットPC、ノートPCを対象に、ウイルス対策ソフトである『Dr.WEB』を導入しました。一人あたり2端末(2ライセンス)分まで、大学側が無償で提供しています」と青砥氏。

 「本製品の導入の決め手は、申請から登録までの全てがオンライン上でできること、その際、ユーザー情報の入力が最小限で済むこと、利用者数の集計が簡単にできることでした」

学内の専用ポータルサイトから、オンラインで『Dr.WEB」のライセンス発行の申請ができる
学内の専用ポータルサイトから、オンラインで『Dr.WEB」のライセンス発行の申請ができる

学生のセキュリティ意識向上へきっかけをつくりたい

 同大学では、『Dr. WEB』のライセンス発行と利用については、学生が学内の専用ポータルサイトから自主的に申請する仕組みなのだという。『Dr. WEB』の利用を希望する学生は、自らライセンスを申請し、登録後、各端末にソフトをダウンロードする。その理由について、「本製品については、2つの観点から導入しています。大学のネットワークを守ること、そして、それ以上に、学生のセキュリティ意識を高めることです」と青砥氏は言う。

 実は、現在の学内無線LANは、Webサービスのみで端末間通信が発生しない仕組みであるため、たとえ学生がウイルスに感染したPCやスマートフォンを持ち込んでも、大学側に直接の影響は無いのだという。さらに大学側のサーバーやシステム系統は、何重ものセキュリティ対策で強固に守られている。「個人端末の接続やウイルス対策ソフトの利用に対して自由度を設ける一方で、セキュリティ上、締めるところはしっかりと締めています」と自信をのぞかせた。

 それでも、同大学では全学生を対象に、半年ごとに学内無線LANの登録更新手続きを義務化し、その際、「ウイルス対策の有無」のチェック項目によって、学生が自身のスマートフォンやPCに対してセキュリティ対策を施しているかを問う。この一連の流れも、学生にセキュリティ意識を持たせ、さらなる意識向上を促す大学側の取り組みの一環である。


大学と学生の未来を見据えて

 導入から1年で、まだ利用者は500人に満たないが、「特に目標値は設定していない」と青砥氏。「大学側が一気に推し進めるのでは意味が無い。私たちは、あくまでも道筋を示すだけ。あとは学生が自主的にセキュリティ意識や問題意識を形成して卒業していくことが大切だと考えています」と表情はにこやかだ。

 同大学では、この夏、サーバーの大規模なリプレイスを予定している。今まで学内に設置していたサーバーをクラウド化することで、懸念される大規模災害にも備えるという。

 大学全体と学生たちの未来を見据えて描かれた青写真のもと、長期にわたって緻密に進められてきた事業計画が、ついに完結を迎える。

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