上智大学
言語教育研究センター
デュレンベルジェ・ヴァンサン(Durrenberger Vincent)先生
デュレンベルジェ先生は、一方的な講義型の授業ではなく、 アクティビティやフィードバックの時間を組み込んで、授業に出席する理由を学生に与えたいという考えから、 反転授業(※1)の導入を意識した教材等の制作を進めている。今回は、「フランス語上級」の授業を訪問し、 『CaLabo EX』の活用法や今後の課題などを伺った。
セルフラーニングの習慣化へ
授業は、10名の少人数制で、学生のセルフラーニングを中心に進められる。冒頭に、デュレンベルジェ先生は、授業全体についての説明をフランス語で行った。
さらに、この授業の目標については、「セルフラーニングを習慣化し、自分の意見を相手に伝える力を身につけることです」と説明。 その目標を実現させるために、『CaLabo EX』とLMS(Learning Management System=学習管理システム)を組み合わせた授業を推進しているのだ。
毎回の授業で学生が真っ先に行うことは、あらかじめLMSにアップロードされている動画を視聴すること。デュレンベルジェ先生がダイアログの内容や重要語句、 文法等を説明している10分程度のオリジナル動画だ。
動画の視聴を終えると、学生はそれぞれLMSのダイアログのリスニングを始める。学生の中には、ディクテーションをする人もいる。 次に『ムービーテレコ』を使ってダイアログのシャドーイングを行う。学生が個々にダイアログ練習を行っている間、先生は机間巡視をし、個別指導を行う。 また、学生の集中力を保つために、『CaLabo EX』のインカム機能を使い、一人ひとりに本日のダイアログについての質問をする。
※1:授業と宿題の役割を反転させ、学生は授業時間外に動画等を視聴して知識習得を済ませ、授業時間内では予習で得た知識を応用して問題を解いたり、ディスカッションをしたりする授業形態。
個人でもペアでも「録音」を重視
学生はダイアログ練習が終わったら、『ムービーテレコ』を使って録音を開始する。毎回の授業で、本日のダイアログと本日の質問に対する回答を録音する。 さらに、学生は取り組んでいる内容の確認をするため、LMSの小テストを受験する。
「毎回の授業で必ず録音をするので、学生は『ムービーテレコ』を使いこなしています。『ムービーテレコ』は、思いのままに繰り返し視聴したり、 録音したりできるので、この授業では欠かせないですね」
授業の終盤には、隣同士でペアワークを行う。それぞれに練習したダイアログを参考に、ペアでオリジナルのダイアログを作成し、 『CaLabo EX』の会話機能を使って、ペアで録音をする。学生同士で協力し合い、一つの課題に取り組むことの大切さが感じられる。
最後に、学生は個人とペアで行ったもの両方の録音ファイルをLMSに提出する。授業時間内に満足のいく録音ができなかった学生は、自宅等で録り直してから提出もできる。
反転授業の導入準備は、この秋から
デュレンベルジェ先生は、学生が個々のレベルに合わせて、個々のペースで目標を達成するために、セルフラーニングの習慣化を促す努力を惜しまない。 事前に教材としてオリジナル動画を用意したり、何度も録音できる機会を設けたりするのも、その一環と言える。
そして、「前々から反転授業をすることを目標にしていたので、少しずつ教材の準備をしてきました。この秋学期から反転授業を導入する準備が整えられつつあります」とにこやかに語ってくれた。
なお、授業で使用している教材は、デュレンベルジェ先生が制作している下記のホームページで確認することができるので、ぜひ参考にしていただきたい。
https://www.podcastfrancaisfacile.com/