『大学教育改革』を支える学修環境
―神奈川県―
東海大学 湘南キャンパス
コンピュータ室を求めて広大なキャンパス内をさまよう学生、教室変更を知らせるプリントを持って廊下を走る事務スタッフ...。こんな不便を解消し、コンピュータ室利用を効率化するため、東海大学は2,200台ものパソコンを有する湘南キャンパスに『ClassView』を導入した。導入の経緯や活用状況について、総合情報センター情報システム課の原田渡係長、森尾若菜氏にお話を伺った。
総合情報センター
情報システム課
原田 渡係長
総合情報センター
情報システム課
森尾 若菜氏
東海大学 湘南キャンパス
〒259-1292 神奈川県平塚市北金目4-1-1
TEL 0463-58-1211
1942年に航空科学専門学校を前身として創立。2017年に創立75周年を迎えた。メインキャンパスとなる湘南キャンパスは、広大な敷地の中に、理工系から情報系、社会・人文科学、スポーツまで、文理融合型総合大学ならではの多様な9学部、大学院が併設されている。
2200台ものパソコンの利用状況を効率よく管理したい
東海大学湘南キャンパスは東京ドーム10個分もの広大な敷地内に、約40棟の教室棟や食堂、体育館等の施設を有している。キャンパス内のコンピュータ室は全部で40室。設置されているパソコンは2200台を超える。これらは授業で使用されるだけでなく、学生たちの自学自習にも使われる。試験前や課題提出前には利用者が集中し、コンピュータ室を訪れたものの満席ということも少なくない。学生はパソコンを求めて広大なキャンパス内をさまようことになる。
学生サービス向上の一貫として『ClassView』の導入へ
「本学では、学生の大学に対する要望を把握するために定期的にアンケートを行っています。職員、教員には学生の意見をもとに、環境を改善するよう努力することを求めています。コンピュータ室やパソコンの利用状況確認の効率化は、アンケートで明らかになった要望の一つ。『わざわざ来たのに、また空いていない』『どこに行けば空いているのだろう』といった声を教室前で耳にすることもありました」と原田係長は振り返る。
そんな学生の不便を解消するために、パソコンの利用状況を把握できる『ClassView』の導入に踏み切った。
教室探しをスマートに
『ClassView』は登録したパソコン教室の利用状況を、パソコンやデジタルサイネージ等で見える化するシステムだ。学生は、学内5箇所に設置された大型サイネージと、40室中21室のコンピュータ室の入口に設置された17インチのタッチパネルで、コンピュータ室やパソコンの利用状況をひと目で確認できる。自分のスマートフォンでも『ClassView』の画面を閲覧できるので、登校前に自宅で確認することもできる。
『ClassView』には、空き状況だけでなく、時間割ごとの使用教室の予定も表示される。「次の授業はどのコンピュータ室で行われるか」をあらかじめ確認することができるので、広いキャンパスの中で迷うことがない。当日だけでなく、翌週、翌月の予定も確認できる。急に教室が変更になったり、授業が休講となったりした場合も、事前に知ることができる。
「以前から、デジタルサイネージで授業の予定を見ることができましたが、利用状況までは把握できませんでした。学生は、教室の変更や休講を、教室に行って初めて知る、ということも多々ありました。『ClassView』を導入したことによって、そのような無駄足をしなくてよくなり、学生も時間を有効に使えるようになりました」とその利便性に満足する。今後、キャンパスマップと『ClassView』を連動させ、より直感的に行くべき場所を見つけることができる機能を付加するべきかを検討中だという。
東海大学は、湘南キャンパス以外にも高輪、代々木などに7つのキャンパスを持つが、他キャンパスでの『Class
VIew』活用は現時点では考えていない。「湘南キャンパスには40ものコンピュータ室があり、2000台以上のパソコンがキャンパス内に分散されているからこそ、『ClassVIew』を使う意味がある。他のキャンパスはコンピュータ室の数も少なく分散されていないので、教室に行って目で見たほうが早い」と端的なご意見をいただいた。
教員や職員にも省力化のメリットが
教員も、あらかじめコンピュータ室の空き状況を調べて授業の予定を立てることができ、「授業をしようとしたらコンピュータ室が空いていなかった!」という事態を回避することができる。
それだけではない。『ClassView』によって、職員の工数も大幅に削減できた。「以前は、使用教室に変更があった場合、教室の入口に取り付けられたクリアフォルダーに、案内のプリントを差し込むという方法で告知していました。しかし『ClassView』を使うことで、案内を作成してプリントする手間や、教室まで紙を差し込みに行く人手が不要になりました。もちろん紙も不要です」と原田係長は話す。
講義予定は、職員がCSVで簡単に一括登録できる。使い勝手は非常に良く、導入して3年経つが、不都合は感じていない。
見やすいインターフェースも気に入っている。「一般的に、この手の管理システムは無機質なデザインのものが多いですが、『ClassVIew』は色使いが美しく、視覚的にもパッと見てわかりやすい。パソコンの利用率も3色で色分けされ、直感的に把握できます」と原田係長は満足している。
利用率の履歴を見て、夏休みなどの長期休暇中には利用率の低いコンピュータ室は開放しないなど、省エネにも利用できると考えている。
コンピュータ室以外の登録や予約システムの機能拡張も視野に
現状にとても満足しているとはいえ、2年後に予定しているリプレイスに向けて、いくつか改善したい点もある。たとえば、現在登録できるのはコンピュータ室だけだが、一般教室も登録することで、学生や教員の利便性がより高まると考えている。「一般教室でも利用できるのであれば、小規模な他キャンパスでも利用価値があるので導入を検討したいですね」と期待を寄せる。
「また、利用予約機能を付加することができればと思っています」と原田係長。現状では、教員がコンピュータ室の利用予約をしたい場合、まず『ClassView』で空き状況を確認し、空いていたら職員に電話で利用したい旨を伝え、職員が『ClassView』で登録する、という手順を踏んでいる。教員が自分のパソコンから直接登録できるようになれば、より効率的になる。
他部署との連携も課題
システム的な課題以外に、運用面での課題もある。現状、学部・学科の授業の管理をするのは教学部教務課、情報システム関係の管理をするのが総合情報センター情報システム課と分かれていて、しかも、部署間の情報のやりとりは文書で行っているという。
原田係長は「コンピュータ室を使う授業のリストも、せっかく『ClassView』で見られるのに、わざわざ文書にして教学部教務課に回さなければなりません。今後は他部署にも『ClassView』を知ってもらい、同じ情報は一元化したいですね。手間も省けますし、転記による人為的なミスもなくなります。こういった、細かなカスタマイズの要望には、迅速に対応してくれるので大変助かっています。今後も、実際に使いながら、当大学に合ったシステムに育てていければと思っています」と締めくくった。
学生がより学びやすく、教員がより使いやすい環境を実現するための努力はこれからも続く。