Case Studies

『CaLabo EX』が持つCALL機能の活用は、語学学習に絶大な力を発揮!

―神奈川県―
神奈川県立横浜国際高等学校

神奈川県立横浜国際高等学校は、神奈川県内でも珍しい国際情報科の単位制高校だ。文部科学省のスーパーグローバルハイスクールにも指定され、その果たすべき役割はますます大きくなっている。国際化の進む現代において、グローバル人材の育成に期待が高まる同校の『CaLabo EX』の活用方法についてリポートする。

神奈川県立横浜国際高等学校
〒232-0066 神奈川県横浜市南区六ツ川1-731
TEL 045-721-1434

横浜市にあった二つの神奈川県立高校が再編統合し、2008年に設立。高度な英語教育と英語以外の外国語教育に力を入れている。2017年度より、国際科として「国際コミュニケーション系」「国際文化系」「国際関係系」の三つの柱による教育課程を展開する。

http://www.yokohamakokusai-h.pen-kanagawa.ed.jp/

「ムービーテレコ」を活用して、視覚に訴える授業を実践

 横浜国際高等学校の特徴は、学校名が示す通り、英語を中心とする高度な外国語教育にある。少人数制の指導やネイティブ教師の配置、バラエティ豊かなテキストの使用など、専門高校としての強みを生かした濃密な英語の教育環境を整備することで、3年間で確実に英語力を伸ばしている。この日は、『CaLabo EX』を活用する渡部萌先生の1年生の総合英語の授業を見る機会に恵まれた。

 使用する教材は、1995年ラグビーワールドカップの際に南アフリカ共和国で大きな役割を担ったネルソン・マンデラ氏の物語『Playing the Enemy』だ。原作本のリーディングをベースに、その映画化作品『インビクタス/負けざる者たち』を利用して展開される。内容を立体的にとらえるために、映画を通じて臨場感を味わい、ネルソン・マンデラ氏やチームの選手になりきることで、深い読解力と自己表現力を身につけるのが目標だ。

 授業は、ウォーミングアップとテキストのレビューから始まった。まずは、今日の授業で触れる新出単語の確認だ。関連する画像や発音記号なども交えながら、パワーポイントで生徒の前のPCに単語を提示し、唱和させる。「単語を学ぶ際にも画像や写真を多用するよう心掛けています。生徒にとっては楽しく学べ、また生徒のなかにあるイメージを引き出すことにもつながり、定着を図ることができます」と渡部先生は説明する。

 次の課題は、ディクテーションだ。PC上に映画を映し出し、生徒に聴き取った英語を書き取らせる。「『ムービーテレコ』を使うと、教卓から生徒PCの映像や音声をコントロールでき、とても便利です。従来のようにCDプレーヤーを操作する手間やストレスがなくなりました」と渡部先生は好意的だ。

『CaLabo EX』の活用で、アクティブ・ラーニングの効果も絶大

 授業開始から約15分後、隣の生徒同士でのペアワークに入る。本文の要約に関する空欄を補い、ペアを組んだ相手と交互に読み合うことで正しい発音を確認するというものだ。次の課題は、ライティングとロールプレイング。映画の中から一つのシーンを選び、シチュエーションを想像しながら、マンデラ氏や選手になりきって英語で表現する。

 「この課題が、アクティブ・ラーニングの効果が最も期待できるところです。ただ単に紙のテキストを使った授業で、前に出てきて『マンデラ氏になりきれ』と言っても説得力がありません。映像を見せて臨場感を持たせ、会話の一部にミュートをかけることで自分から発信するきっかけをつくってやります。こうした活動が容易にできるのも『CaLabo EX』の魅力です」と渡部先生は語る。

 最後の課題は、リスニングとシャドーイングだ。生徒たちは、ロールプレイングで自分の出した答えを映画の音声を使って確認する。今回は、時間の関係でシャドーイングまでできなかったが、いつもの授業では生徒は自ら進んでリスニングとシャドーイングに取り組んでいるという。「ネイティブスピーカーでない私が、英文を読んだ後に続いて読み上げてもあまり意味がありません。ネイティブスピーカーの良質な発音・題材が詰まった教材がYouTubeや映画にはたくさんあり、使わない手はありません」と渡部先生。さらに、「生徒たちには see / think / wonder の態度で授業に臨んでほしいと思っていますが、それを可能にするツールが『CaLabo EX』にはあると感じています。CALLの機能を利用すると活動の幅が広がり、授業に抑揚やリズムを持たせることができて、生徒はとても集中しています」と話した。

映画の1シーンをPCに映し出し、セリフの一部をブランクにして何を言おうとしているのか生徒たちに想像させる。

インタラクティブな環境を活かし、課題解決をめざす

 渡部先生は、映画を使った授業に大きな期待を寄せているが、まだ課題はあるという。「今は自らどんどん発信させるためにロールプレイングを導入しています。授業の最後まで一言も話さないという状況をつくらずに、話すことで自信をつけさせたいと思っているからです。しかし悪く言えば、ただ言いっ放しとも言えます。今後は、自分が考えたセリフや文章が、相手にどのように受け取られるのか、評価までできたら理想的ですね」と述べる。

 同校は、ネイティブスピーカーの先生やそれと同等の英語力を持つ先生が多く在籍する。そのような環境で、『CaLabo EX』の持っている数々のCALLの機能を駆使することで、英語をはじめとした外国語教育に、今後ますます拍車がかかることが期待される。

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