―東京都・千葉県―
日本大学 理工学部
日本大学理工学部は、東京・駿河台と千葉・船橋の二つのキャンパスで、研究室やインターネットカフェなどを含め、合計6,000台以上のコンピュータを設置。学部生二人に約1台という充実の環境だ。船橋キャンパスを訪れ、長年にわたってCALLシステムを用いた英語指導を行ってきた中村文紀先生に『CaLabo EX』の活用状況を伺った。
日本大学 理工学部
[駿河台キャンパス]
〒101-8308 東京都千代田区神田駿河台1-8-14
TEL 03-3259-0514
[船橋キャンパス]
〒274- 8501 千葉県船橋市習志野台7- 24-1
TEL 047-469-5330
1920年に前身である日本大学高等工学校が開設され、2020年には創設100周年を迎える日本大学理工学部。土木系、建築系、機械系、電気系の工学分野11学科と化学・物理・数学の理学系3学科からなる14学科で構成され、全16学部を擁する日本大学の中でトップクラスの学生数を誇り、卒業生は22万人を超える。
反復学習に努めれば、着実に知識は定着する
日本大学理工学部で『CaLabo EX』を使っているのは、英語・ドイツ語・フランス語の授業。中村文紀先生が担当する、文法・読解の「英語ⅠA」では、グループワークで和訳に挑みながら、感覚的に〝なんとなく”読み進めるのではなく、ロジカルに文の構造を解き明かしていく。特徴的なのは、ペンタブレットを駆使する点にある。画面に表示された英文の上に、先生が『ePen』でポイントを書き込み、そこでの構文解析の様子は学生の画面にも表示される。
授業で学生に伝えているのは、「間違えてもよい」ということ。重視しているのは、予習よりも復習だ。「私の授業は、90分間の授業内で毎回完結させるよう心掛けています。そして、前時に学んだことを〝道具”として使いながら授業を進めるという流れを繰り返していくことで、学生の知識が定着していく実感があります」と話す。
学生に、自分の頭で考えさせ、「何もしない時間帯」をつくらない
コンピュータを人から切り離してはいけない―これが、中村先生の信念だ。『CaLabo EX』を使って学生の英語力や思考力を高めていくプロセスをつくるのは、あくまでも教員という「人」。たとえば4択クイズでは、コンピュータ上で解かせるという行為自体ではなく、どの選択肢を選ぶかを、学生に自分の頭で考えさせることこそが重要だと中村先生は強調する。
他方で、和訳や英文などを自由に編集できるようコンピュータ上に打ち込ませることや、クリック一つで資料配布を行うことは、授業の効率的な進行を後押しし、その分、グループワークやディスカッションに時間を費やすことができるという。
グループワークは、中村先生が積極的に授業に取り入れているスタイルの一つだ。学生はまず自分で考え、次にグループ内で周りの学生の意見を聞いて刺激を受け、自分の考えを再構成していく。こうしたプロセスによって考える力を高められるほか、学生が、自身の相対的な得手不得手を理解したり、集団の中で果たすべき役割を自覚したりするチャンスになるのだという。
中村先生は、「学生の考える力を高めるために不可欠なのは、『教員自身も考え抜く』こと。そして、機械頼みではなく、『CaLabo EX』を活用して私がどう振る舞うべきか、想像力をフル回転させています。授業時間内は、学生が何もしない時間帯をつくらせないことを意識しています」と話す。
中村先生の頭の中は常により望ましい授業づくりのことでいっぱいのようだ。
大学院進学を見据えた、意欲を高める英語指導
中村先生が英語指導を行う際に意識するのが、学科によっては30%を超える大学院進学率だ。これは日本大学理工学部の特徴の一つでもある。「研究室に所属し、その後大学院に進学する学生は、英語の論文を読んだり書いたりする機会が増えるでしょう。そうしたなか、英語の必要性は感じつつも、使いこなせていない学生が多いのが実情です。まず、インプットをするための基礎力を高め、読めるようになることで、向学心が高まっていくと思うのです」と中村先生は語る。
その第一歩として中村先生は、学生の意欲を高める〝空気づくり”に気を配る。「個人ではなくグループに発言ポイントを与えていくことで参加しやすい空気をつくったり、発言者が偏ることのないようバランスを取ったりしています。特に入学直後の1年生には、コミットしやすいよう内容に配慮するなど、ハードルを下げてあげることが肝心です。また、対面では緊張しがちでも、ヘッドセットを装着することで話しやすくなる学生や、SNSなどで短文投稿に慣れていて、話すよりも得意なチャットで活発に質問してくる学生もいますので、そこは柔軟に、学生に合わせた指導をしています」と締めくくった。