通訳者の養成には、コミュニケーションの基礎理論に基づいた効果的な訓練が必要で、内容の理解力・正確で効果的な表現能力を修得すべく実践的な授業を展開する同時通訳集中講座を開設している沖縄キリスト教学院大学は、チエルのCALLシステム『CaLabo EX』を2013年に2教室に導入。授業のコマはほぼ埋まっている。翌年には授業支援システム『CaLabo LX』をPC教室に導入。利用している先生も15名以上となった。
沖縄キリスト教学院大学
沖縄キリスト教短期大学
沖縄で唯一「キリスト」の名を冠にもち、「キリスト教精神」による教育を学則の冒頭に掲げ、そこに立って英語コミュニケーションや保育を学ぶ大学・短大。
〒903-0207
沖縄県中頭郡西原町字翁長777番地
TEL 098-946-1231(代表)
ユーザビリティの良さが導入の決め手
異なる文化、様々な慣習、多様な価値観を持つ人々の考えや気持ちを十分に理解し、効果的にコミュニケーションをとる異文化コミュニケーション能力を修得することを教育目標とする沖縄キリスト教学院大学では以前、他社のCALLシステムを導入していた。『CaLabo EX』に移行した最大の決め手は、そのユーザビリティの良さ。城間仙子先生は「以前使っていたシステムに比べると、やりたいことにたどりつくまでのクリック数が断然少なくなりました」と話す。
例えば、動画学習ツール『ムービーテレコ』をUSBスティックに入れて持ち帰り、教室の環境を自宅で再現できるのも『CaLabo EX』の特長のひとつだ。数クリックで、自宅に持ち帰るファイルがPCのデスクトップにでき上がる。学生はそのファイルをドラッグ&ドロップでUSBスティックにコピーするだけだ。「へえ~、簡単!」学生たちから歓声が上がる。
同大学の環境は、Windowsだが、学生の自宅の環境がMacでも、MP3音声ファイルを持ち帰り、シャドーイングの練習をすることが可能だ。
ハンドマイクを『CaLabo EX』に取り込み、通訳現場を再現
1993年から開設している通訳者養成のための同時通訳集中講座(初級・上級)はリピーターが多く、県内外ならびに海外からの受講者もいる。通訳をされる側と聴く側双方の、円滑なコミュニケーションを体全体で実現できる通訳者育成のために、プレゼンテーション訓練も重視している。通訳の現場に近い環境を作るため、講演者用と通訳者用のハンドマイク2本とミキサーを『CaLabo EX』に接続するオプションを採用した。「机に座り、ヘッドセットで通訳をするのと、大勢の聴衆の前に立ち、ハンドマイクを握って通訳をするのとでは、緊張感も違います」と城間先生は語る。
授業で繰り返されるシャドーイングでは、マイクを通じて聴衆に伝わる音が耳障りにならないよう、クリアな発音、鼻濁音や滑舌にも注意することを、学生に常に言い聞かせている。
講演者役の学生の、ハンドマイクを使ったスピーチを『ムービーテレコ』でMP3ファイルとして録音し、教材として保存する。通訳者役の学生がそれに対してもう1本のハンドマイクで通訳をする。通訳者役の学生は自分の声をMP3で録音し、聞き直す。最初の講演者役の音声は、すでにMP3として保存されているため、次の授業でも教材として活用可能だ。
教材の準備時間が大幅に削減
「2世代前のアナログ時代と比べると、教材の準備にかかる時間が激減しました」と話す城間先生は、予習・復習用のVHSやカセット教材を、クラスの人数分ダビングすることに時間をかけていたという。学生にその教材を渡しても、学生の家にプレーヤーがないなどと、無駄な時間も多かった。
しかし、『CaLabo EX』を導入したことで、教材の準備が全てクリック・ドラッグ&ドロップで済むようになり、教材の準備や教材の配布にかかる時間が大幅に削減された。
城間先生は、「『CaLabo EX』導入で、通訳教育の理想の環境が整いましたし、90分の授業を教えることに集中できるようになりました」と、笑顔で話す。
90分の授業の質が確実に向上
「もう『CaLabo EX』なしの授業は考えられません」と顔をほころばすのは内間清晴先生だ。「今までは90分の授業のうち、60分は机間巡視だった」。多いときでクラスは40名以上。質問に答えているうちに授業が終わることもあった。
現在は、先生のデスクから課題の提示・巡回・質問の受け答えができる。課題を一斉に学生に送って説明をした後、巡回モニタ機能で学生一人ひとりの理解度を確認する。全体的に理解していないようなら一斉に学生の手を止め、もう一度先生の画面を見せて説明を繰り返す。それでも理解できない学生には一対一でインカムを使い説明をする。チャット機能で質問をしてくる学生もいる。内間先生は「無駄な移動時間が無くなって、授業の質が向上しましたし、学生も積極的に授業に参加するようになりました」と話す。
課題の達成度が上昇
今までは、授業が終わってから集め、授業外の時間で添削していた課題を、今では、授業中に、学生がクリック一つで提出できる。その場で先生が添削し、間違っていればやり直しさせ、回答できていれば次の課題を送信する。学生は自分のフォルダで達成度を見ることができる。学生のやる気が喚起され、全ての課題を終了する学生の割合が大幅に増えた。「学生たちの授業に取り組む姿勢、理解度が大幅に改善された」と内間先生は興奮気味に話す。
学内では、授業の全てをICT化したわけではない。「まだ『CaLabo EX』を使ったことのない先生方に、コンピューターに詳しくなくても直感的に操作できることを伝えて、学校全体の授業効率を上げていきたい」と期待をこめて語った。
A:『 ムービーテレコ』をUSBスティックに入れる方法を学生に指示を出す城間先生
B :講演者用と、通訳者用のハンドマイク2 本とミキサーを接続している