~グローバリズムとローカリズムの共存社会に向けて~
高崎経済大学 地域政策学部地域づくり学科 髙橋 栄作 准教授
インターネット・イングリッシュ
インターネットを授業で利用して、生きた英語を学ぶ授業。
グループ研究
グローバル化に対応できる英語力の習得を目指す学生だけの反転授業を中心としたゼミ形式の授業。
プレゼンテーション・イングリッシュ
身の回りのこと、大学のこと、ふるさとのこと等を英語で発信できる人材を育成することを目的とする授業。
TOEIC入門/500
『CaLabo EX』を使用したTOEIC対策の授業。
高崎経済大学
1996年に日本初の地域政策学部を設立した高崎経済大学は、2002 年から「知の創造、知の継承、地域貢献」を理念に掲げ、英語教育とICT を融合させた教育環境の再整備を進めている。
〒370-0801
群馬県高崎市上並榎町1300番地
TEL 027-343-5417
英語教育や情報関連カリキュラムを準備
昨今の現代社会が求める若者像は大きく転換している。企業では、グローバル社会に向けて、専門性の高い企画力・コミュニケーション能力のある人材を、地域では、コミュニティ再生を課題とし、協働力・参画力・地域とのネットワーク力がある人材を求めている。
高崎経済大学では、こうした背景からグローバリズムとローカリズムの共存社会において、海外製品との競争や、地方市街地の衰退、農山村地域の過疎化といった地域産業の抱える諸問題に、幅広い視野と深い知識を持って対応できる「地域リーダー」の育成を目指している。
そこで、グローバル化や情報化に対応した英語教育や情報関連のカリキュラムを導入し、2009年3月には、授業用コンピューター教室は全て強固なウイルス対策を施した環境復元システムで整備された。また、さらに英語教育に最適なCALL環境やプロジェクター、大型液晶モニター、ブルーレイプレーヤー等の最新AV機器が完備された。
2011年に公立大学法人となると同大学は、「知の交流拠点―地域に立脚し、世界に発信する―」を中期目標として掲げた。
アクティブラーニングへの期待
学内には、総計750台のコンピューターを17教室に配備している。ICT環境を整備するにあたり、「英語が苦手な学生が英語を好きになる」ことを到達目標に掲げ、システムとeラーニング教材を体系化した運用管理が可能なチエル製品を中核に据え、フルデジタルCALLシステム『CaLabo EX』15教室、『CaLabo LX』1教室を配備し、数種類の英語教育教材の利用を推進してきた。
さらに、2014年4月にはアクティブラーニング型学修支援システム『ABLish』を新たに導入した。
学習者の適性にあった語学学習を『ABLish』で実践
髙橋栄作准教授は、ICTを使った効果的な語学教育について考察を行うべく、適性処遇交互作用*をICT活用語学教育において実践し、効果があることを実感した。日本比較文化学会 関東(第35回)・東北(第7回)合同大会においては、『学習者の適性に合った語学学習法』というテーマで、その効用について発表された。
「『ABLish』は、適性処遇交互作用に基づいた学習指導が可能です」と髙橋准教授は述べる。『ABLish』で週に3回配信される「時事ニュース」は、テキストと音声が付いている。同じ教材でも、文章で読んだ方が理解しやすい学生と、音で聞いた方が理解しやすい学生とがいる。そこで、「課題を出すときには、学生の適性にあった教育を提供することが可能です」 と強調する。
学生の能動的な授業への参加
「学生は、『ABLish』の自分が所属する「グループ」に、いつでもどこからでも参加できますし、私たちにとっても、授業時間に限らず、教室外でも学生とのやりとりが可能になりました」という髙橋准教授。「今までは、例えば教材を読むという課題を出しても、それを実際にやっているかどうかがわかりませんでした。教材を理解し、『ディスカッション』に学生が発見したことを書き込むような課題を出すことで、学生の課題に対する達成度を図れるようにもなりました」とも。
高橋准教授が担当する1年生のクラスでは、まだ出された課題に答える程度だが、高学年になるにつれて、授業時間外に、他の教室や学外にいる学生と時間や場所を選ばずに、『ABLish』上でディスカッションをしている様子も見られるようになってきた。『ABLish』の導入により、アクティブラーニングが実践され、LMSとしても活躍しているという。
『CaLabo EX』×『ABLish』
『CaLabo EX』は、必修英語、選択英語のすべてのクラスで利用されている。髙橋准教授は、『ABLish』の教材を題材に、『CaLabo EX』の「小テスト」を使って独自の方法を実践している。学生が回答するスピードをモニターで観察し、クラス全体の回答をその場で「小テスト」や「アナライザー」で確認することで、「学生の理解度がグラフ化されるので、それを確認することにより、授業中に無駄な説明をしている時間がなくなりましたし、効率よく授業が進められています」と話す。
最後に、「場所や時間にとらわれずに、必要とされる知識を習得するための事前・事後学習により、指導漏れをなくし、授業開始時の学習レベルのばらつきをなくすなど、eラーニング教材だからこそできることを整理して活用し、自分が生活している地域について英語で発信できるような人材を育てていきたい」と締めくくられた。
※適性処遇交互作用:(ATI: Aptitude Treatment Interaction)手順や教授法、課題内容(処遇)よりも、学習者個々の能力や経験、性格などといった属性(適性)の違いによって、学習効果に違いが生じるという理論
A:「 学生の課題に対する達成度が図れるようにもなりました」
B:「ディスカッションに書き込まれた時間を見ると、授業時間外に課題に参加しているのがわかります」
C:アクティブラーニング式に設計