新潟経営大学では、CALL 教室の新設に伴い、2013 年4月に『CaLabo EX』を導入した。率先してシステムを利用している山本淳子准教授に、システムの活用状況や今後の展望について伺った。
新潟経営大学
「アットホーム・少人数教育・グローカ4 ル」を特色とし、地域に密着した教育・研究を展開している。経営情報学部は経営情報学科(経営・会計・情報・英語コース)とスポーツマネジメント学科からなる。
〒959-1321 新潟県加茂市希望ヶ丘2909-2
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誰でも利用できるよう操作のしやすさを重視
「『CaLabo EX』を使うのが楽しみで仕方ありませんでした」と話す山本准教授の念願がかなったのは、今年の春のこと。それまで新潟経営大学にはLL教室しかなく、音声機器はテープレコーダーのみだった。老朽化したLL教室をCALL教室に改修する際に導入したのが、『CaLabo EX』だ。本製品を選んだ理由について、「何よりも操作のしやすさを優先しました」と総務課の田村さんは話す。機能は充実しているうえ、扱い方もシンプルで、ボタン一つで操作できる点が、製品のデモンストレーションを見た教員からも高い評価を得た。特に語学科目は非常勤講師が多いため、「どんな先生でも無理なく使えるという点は、非常に重要です」と田村さんは指摘する。
システム導入にあたり、田村さんが主導して教員向けのデモンストレーションを行った。操作方法のマニュアルを準備し、機器のトラブルや教員からの質問には随時対応するなど、現在も田村さんが中心になってサポートを行っている。「操作自体は簡単なので、慣れることが重要。先生方には積極的に利用していただき、慣れていただきたいと思います」と田村さんは話す。
シンプルな操作で授業がすばやく展開する
山本准教授の担当する「英語総合演習」や「オーラルイングリッシュ」の授業では、映画を教材として取り入れている。「ムービーテレコ」を使ってDVDを流し、聴き取りやディクテーションをしたり、セリフに合わせて発話した音声を録音したりと、学生のレベルに合わせてさまざまなアクティビティに取り組んでいる。『Back to theFuture』や『Toy Story』など、学生の多くが知っている人気作品を取り上げるため、学生の反応はよく、「通常の英語教材よりも、真剣に聴こうとする姿勢が見られます。一部でも聴き取ることができれば、次のセリフに挑戦しようというモチベーションにもつながります」と山本准教授は話す。また、普通教室では英文を口に出すことに消極的な学生も、CALL教室では自然と声を出すようになるという。
山本准教授は、「ムービーテレコ」のほか、「モニタリング」や「ペアワーク」、「画面共有」の機能にも高い利便性を感じており、「『CaLabo EX』の導入により、授業の流れがスムーズになった」と言う。例えば英作文を扱う際には、画面共有機能を使うことで、よく書けている学生の英文を全員に見せたり、画面上で添削をしたりということが、即時に可能だ。「クラスみんなで共有するのは、とても有意義なこと。それがシンプルかつスピーディーにできるので、大変助かっています」と山本准教授。
語学の授業以外でもCALL教室を活用
山本准教授は、英語の授業だけでなく、「基礎演習」のゼミでもCALL教室を利用している。「基礎演習」とは、1年次全員を対象とした少人数ゼミで、大学での学び方、レポートの書き方、自己表現方法、読解力、パソコンの使い方、資料収集能力などを総合的に習得する。Word を使ったレポートの書き方、インターネットを使った情報収集の方法など、実際にパソコンに触れながらスキルを習得できると、学生にも好評だ。
CALL教室の使用用途は、語学の授業に限らない。「使いたい時に、ニーズに合わせてマルチに使えるのが、CALL教室の魅力」と山本准教授が感じているように、「機器やシステムがあるから使わなければならない」のではなく、必要に応じて必要な部分を活用することが重要なのだ。山本准教授は、「私自身も知らない機能や、使いこなせていない機能がたくさんあります。今後は少しずつ慣れていきながら、さらに活用の幅を広げていきたいですね」と話す。
ICT環境のさらなる充実と利用の浸透を目指す
CALL教室の開設と『CaLaboEX』導入から半年が過ぎ、「まだ試行錯誤の連続」という新潟経営大学。利用していくなかで、今後の課題やビジョンも見えてきた。山本准教授は、「学生にCALL教室をもっと利用できる環境を提供したい」と願う。レポート作成などはコンピュータ実習室、語学の勉強はCALL教室と、使用目的によって場所を分け、CALL教室を語学の学習に集中できる場にするのが、山本准教授の望みだ。
また、同大では、『英検CAT』をはじめとしたe-Learning教材をそろえているが、システム、教材とも導入から日が浅いため、使用頻度はまだ高くない。山本准教授は、来年度からは2、3年生の演習に『英検CAT』を取り入れる予定だ。さらに、「特にTOEIC®テストや英検などを受験する学生には、授業以外の時間を使って自分で意欲的に学習を進めてほしいと思います。そのためには、e-Learning教材を貸し出すなど、学生が教材を自由に使えるようにしていきたいですね」と語る。
CALL教室や『CaLabo EX』の利用が教員にも学生にも浸透し、それぞれのニーズに合わせて活用できるようになること。これが、新潟経営大学の目下の目標だ。「少人数でアットホーム」を特色とする大学だからこそ可能なきめ細かい教育に、ICTをどのように活用していくのか。新潟経営大学の挑戦は続く。
製品導入の経緯
●LL 教室をCALL 教室に切り替えるにあたり、CALLシステムの導入を検討。
●操作性の良さ、多機能ながらも操作がシンプルな点が選定の決め手。
導入後の変化
●授業の流れがスムーズになった。
●ムービーテレコを使って映画を題材にしたところ、学生の学習意欲が向上した。
今後の課題
●学生がさらにCALL 教室やe-Learning 教材を活用できる環境を整えたい。