Case Studies

『CaLabo EX』が支援する豊かな授業 デジタル素材がテンポよく活きる

2008/09/18

高大

読む・聞く・話す・書く......総合的な英語力を高めるために、CALL教室での映像や音声の利用がますます盛んになっています。いま注目を浴びるフルデジタル学習システム『CaLabo EX』を活かした授業の様子を、慶應義塾大学日吉キャンパスからレポートします。

居心地の良いCALL教室

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慶應義塾大学日吉キャンパスのシンボルの一つは、みごとなイチョウ並木。その黄葉が盛りを迎えた晩秋、外国語教育研究センターを訪れた。この日の4 時限目、同センター2階のCALL教室では、法学部の迫村純男教授(同センター所長)による「英語第I」の授業が行われていた。

2003年4月に新設されたこのCALL教室は、少人数の学生を対象とした比較的コンパクトな空間で、学生と教授との距離も程よく近い。また、学生用デスクに置かれているのはノート型のパソコンだから、視界を遮る大きなディスプレイがない。

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CALL教室での授業風景

しかも、導入されている『CaLabo EX』はフルデジタルのシステムなので、学生のブースにあるのはネットワークのケーブルに繋がったノートパソコンだけ。つまり、構成が極めてシンプルで、 コンピュータ教室にありがちなメカニックな冷たさが感じられず、居心地もすこぶる良さそうだった。

『CaLabo EX』を活かして多彩な内容の授業を展開

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「ペアレッスン」の相手とチャットをする学生

学生は法学部の1年生で人数は20名ほど。迫村教授は、入室してくるとさっそく、前方のスクリーンと大型ディスプレイをセットし、自ら学生たちの間を歩いてワークシートを手渡した。 「最初は書き取りをやってもらいます」

教授はこう告げて、教授卓の『CaLabo EX』のコントロール画面をマウスでクリックし、学生たちに英語の音声ファイルを配布した。学生たちは各々ヘッドセットをつけ、その音声ファイルを繰り返 し聞きながら、ワークシートに書き取っていく。このリスニングのトレーニングは約10分。予定の時間が過ぎると、教授は学生が書き取った英文の内容や文法 の解説に移った。前方のスクリーンには、教授のモニタ画面が写され、学生たちはそれを見ながら熱心にノートをとる。

続いて教授は、学生が課題として与えられている英文の論文の構成について、数人の学生の文書ファイルをスクリーンに表示して講評、さらに、英文筆上の注意点などを解説した。

これが済むと、今度は『CaLabo EX』の「ペアレッスン」機能を使って、学生同士がチャットを始めた。自分が書こうとしている論文について、割り当てられたペアの学生と、英文で議論す る。ヘッドセットをつければ、音声によるチャットもできるが、このセッションは「書く」トレーニングだ。

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プレゼンテーションをする学生

多彩な授業の次のメニューは、プレゼンテーションだった。 夏休み前に学生が各自PowerPoint で作成した資料をスクリーンに表示しながら、プレゼンテーションを行う。 この 日は3人が指名され、教授卓のパソコンを操作しながら、マイク を片手に英語でスピーチをした。そして、最後のメニューは、 映画のスクリプト解説。法学部の授業のため、法廷が舞台となるアメリカ映画『A FEW GOODMEN』の台詞の一部から、ポイントとなる部分を教授が解説して、90分間の授業が終了した。このように迫村教授の授業は、内容が盛りだくさんで 実に多彩。『CaLaboEX』を使って、学生に飽きさせない授業を展開している。

映像や音声もソフトウェアで配布できるので、使う側がラク

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外国語教育研究センター所長
迫村純男教授

授業の後、迫村教授にインタビュー。まず、『CaLabo EX』を選んだ理由についてお聞きした。

「昨年まで、CALL教室 が3 階にありましたが、もう1つ作ることになり、いろいろなメーカーの製品を見て、ALSI の『CaLabo EX』に決めました。一番大きな理由は、ソフトウェアでファイルを配布したり回収したりできるということです。ビデオなどの映像や音声もソフトウェアで配 布できるので、使う側がラクだということですね。春から使い始めて半年を過ぎましたが、これまでとくに問題点はありません」

つづい て、学生を一刻も退屈させなかった、バラエティ豊かな授業の展開について触れると、教授は、「今の学生は生まれたときからテレビで育ってきているので、 15分以上集中が保ちません。ですから、そのスパンで次々に別のことをやらせるようにしています。」と前置きして、そのための教材準備の例を紹介してくれ た。「授業では、映画をよく採り上げます。前期は映画を2作品選んで教材としました。ただ単に映画をDVDで見せるだけでは、学習効果はあまり期待できま せん。そこで、ファイルに落として加工して、台詞のところだけ続くようにしたり、スクリプトをテキストに落としたり、というような作業を行います。こうし て教材を作るわけですが、例えばスクリプトの途中に穴を空けておいて、そこを学生に聞き取らせるといったことを授業でよくやっています。」

『CaLabo EX』をうまく利用し、学生の集中を90分間持続させるための教材準備や授業展開を効率的に行う。授業の取材を通して、教授はこの点において大きな成功を 収めているように感じた。迫村教授のようにデジタル化した素材を扱う授業こそ、フルデジタルの『CaLabo EX』がもっとも力を発揮する場である。

......最後に、CALL教室の利用法について、「CALL教室は、自律的学習で使うのも良いと思います。そのためにきちんとした教材を作っておけば、学生は 自分の進度に合わせて学習していき、採点も自動的に行われ、学習履歴も残ります。CALL教室で授業をする場合は、学生の学習状況をモニターすることがで きるので、その点も良いと思います。きちんと学生と対面授業をやって、それを補完するものとしてCALL教室を使う、というのが理想ではないかと思ってい ます。」

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