横須賀市立横須賀総合高等学校
風光明媚な神奈川県横須賀市にある横須賀総合高等学校は、2003年に開校した横須賀市立の総合学科高校である。CaLaboを導入したCALL教室で日常的に行われている2つの授業の様子を拝見した。
「Speaking & Listening」 本間浩先生
学校設定科目の「Speaking & Listening」は、”英語が好きな生徒、英語力をより高めたい生徒”が履修しており、授業が始まるまで先生との会話もはずんでいる。
本間先生が授業開始とともに配ったプリントには「Making Beakfast: Frying an Egg」に関したイラストが描かれている。
「Softtelecoで9番の音声を聞いて、英語で書き取ってください。まず日本語を書いて、その後で英語を書いて!」という先生の指示で、それまでのにぎやかさが一転し生徒たちは集中して聞き取り(ディクテーション)に取り組みはじめる。
15分ほどそれぞれのペースでディクテーションした生徒たちは、センテンスごとに分担し、聞き取った内容を白板に書いていく。書いている途中で自分の席に小走りで戻り、Softtelecoで担当部分を聞き直している生徒もいる。
“There are 4 burners on Dan’s stove. And one of the burner is lights.”
「oneとburnerの関係に注目して!」と本間先生。
「あー、”burner is”じゃなくて “burners”だぁ」
正解は、”And one of the burners lights.”
「聞き取りのときには、公式的な知識を当てはめるしかないね」と先生からアドバイス。
“Dan flips it over once with a spatular.”
「OK! ”Spatular”じゃなくて”spatula”だけど、ここまで聞き取れればあとは辞書で調べればいいだけ。ここまでできれば、聞き取れたと同じでしょ?」
「うん!!」生徒も自信満々で答えている。
本間先生が、多民族国家である米国を表す言葉として 「メルティングポット」「モザイク」という言葉をだすと、すぐに生徒から「サラダボウルというのも国際理解のテキストにあったよ!」との声が上がる。
本間先生の「自分の生活や他の授業で学んだ英語に関する知識をSpeaking & Listeningの中で自然に結びつけていって欲しい」という思いが実現されているようだ。
「オーラルコミュニケーション?」 村上幸恵先生
「オーラルコミュニケーション?(OC?)」でも日常的にCALL教室を利用している。OC?の各トピックで、?Softtelecoを使い、生徒それぞれのペースでOC?のダイアログを聞く(自分が覚えたい部分を繰り返し聞く)→?キーセンテンスを使った文章を作る→?生徒全員がスピーチを行う(Speaking Check)、という活動を行っているとのこと。
今日はトピックのまとめの「Speaking Check」の授業である。
村上先生の「”Show and tell”の準備はできていますか?最初に10分間準備して、その後スピーチをしてもらいますね」という言葉で、生徒たちは原稿やメモを手に練習を始める。
「みんな一所懸命覚えてきたと思います。前に立ったら緊張するかもしれないけど、ゆっくり落ちついて話してね」
今日のテーマ「自分が熱中しているもの」では、”I’m crazy about…”というセンテンスが人気のようだ。
家で飼っているハムスターについて話す生徒が、”…She was very cute. I loved her. …” と続けていく。なぜ過去形なのかな?と思っていたところ、”Last Saturday, she died. I was so sad.”と締めくくり、教室全体が少ししんみりとなった。
スピーチの意味や意図を考えた上で,時制や文法も実際にきちんと使えるようになっていると感じられる授業だった。
授業後、本間先生、村上先生にお話を伺った。
・個別学習と全体学習を組み合わせる利点を教えてください。
個別学習を行った後、それぞれの間違いを共有することで、”間違うことの怖さ”をなくします。みんな同じような間違いをすることが理解できますし、字にすることで間違いを怖がらないようになります。
また、個別学習を行うことで、”あきらめないで取り組む”ことも学ばせることができますし、教員としてもどこが分かりづらいのかを把握できます。
・今日の授業以外でCALLをどのように利用されているのか教えてください。
例えば、Musicがテーマの授業で、各自のスピーチをSofttelecoで録音し、次の日に自分で聞いて採点させる。教員も聞いてアドバイスをします。年度初めにスピーチを録音し、年度の終わりにも同じ内容で録音して比較させると、1年間でどれだけ話せるようになったのかがよく分かります。このような取り組みを始めて3年になります。
「Speaking & Listening」の次の授業でもSofttelecoを使います。今日学習した「動作を表す表現」を暗記し、Softtelecoで録音(もちろん英文は見ない)、各自で、発音・アクセント・リズムを再確認します。このときよく言っているのは、「その気になって、かっこよく発音しよう!」です。これによって、恥ずかしがらずに英語らしい発音ができるようになります。
今後はCALLを使ったペアワークでの発表も行いたい、と語る先生からは、学習目標をきちんと押さえた普段の授業で、生徒が聞き・話す機会を確保されている様子が伺えた。