Case Studies

情報処理の授業にパソコンは必須 Excel関数を中間モニターで実演

―東京都―
東京都立若葉総合高等学校

普通科と専門学科に並ぶ第三の選択肢として導入された「総合学科」。東京都立若葉総合高等学校では、多彩な授業を通じて、生徒一人ひとりの個性を伸ばす教育に取り組んでいる。同校のパソコン教室では『CaLabo®LX』などを駆使しながら、総合学科ならではの幅広い学びを提供している。

情報処理の授業にパソコンは必須 Excel関数を中間モニターで実演
東京都立若葉総合高等学校

東京都立若葉総合高等学校
〒206-0822 東京都稲城市坂浜1434-3
「自立の心と個性を伸ばす」という教育目標を掲げ、2024年に創立20周年を迎える総合学科高等学校。キャリア教育を学習の柱とし、多種多様な選択科目の中から生徒一人ひとりが自分の時間割を作る。その選択が自分の将来の夢や希望を大きく膨らませ、自分の得意な分野の力を伸ばすことにつながっている。

中間モニターの使い方で生徒の理解度は向上する

 東京都稲城市の多摩丘陵にそびえる東京都立若葉総合高等学校は、普通科目や情報系、美術系など幅広い科目から生徒が自由にカリキュラムを選べる「総合学科高等学校」として、2005年に開校した。

 「今の(2023年度の)2年次生以降は全員タブレット端末を持っています。『授業はタブレットだけでいいのではないか』という声もありますが、私が担当する商業科の授業では、ExcelやWordなどのソフトの使い方を教えるので、大画面でキーボードを使った方が効率的です」と語る桐澤裕徳先生は、2021年に同校に赴任し、情報処理や簿記などの授業を受け持っている。

 若葉総合高等学校には3つのパソコン教室があり、情報処理を学ぶ教室には授業支援システム『CaLabo®LX』 、語学学習をメインとした教室にはCALLシステム『CaLabo®EX』とクラウド型英検対策教材の『旺文社・英検RCAT』を導入している。情報教室には、『CaLabo®LX』で制御されたパソコンのほか、画像転送システムによって4K UHD(ウルトラハイビジョン)30Hzの高精細画像が映し出される中間モニターの『S600-OP』が並ぶ。

 桐澤先生の授業では、ExcelやWordの使い方を、中間モニターで手本を示しながら生徒に説明する。「商業高等学校の授業では通常、1クラス40名弱の生徒に対して、2人の教員によるチームティーチングで授業を行います。1人が前で指示を出して、もう1人は机間巡視をして、分からない生徒への対応をするという体制です。その際に、生徒のパソコンを生徒の代わりに操作したり、できている生徒の画面を中間モニターで提示したりといった使い方をしています。中間モニターでは、例えばマウスのポインターを押した箇所を、アクセントを付けて表示させる機能もあるので、生徒はどういう操作をすればいいのか理解しやすくなります。中間モニターの使い方によって、生徒の理解度は大きく向上しています」(桐澤先生)

 ExcelやWordはデスクワークに励む社会人にとって必須のスキルでありながら、基礎的な関数は使えても、少し複雑な計算になるとつまずく大人も多いだろう。そんなスキルを総合学科の生徒に教えるために、桐澤先生は『CaLabo®LX』などの機能を駆使する。「合計や平均などの単純な関数はほとんどの生徒が使いこなせますが、例えばRANK関数のようにデータの参照範囲の『絶対参照』が必要になると丸暗記は通用せず、表と集計結果の関係を理解する必要があるので、途端に難しくなります。こうなると言葉だけで説明できないので、画面で実演しながら、関数の考え方を理解してもらうようにしています」

 生徒にとっては、情報処理検定試験に合格することも大きな目標だ。検定試験では制限時間になると画面が消え、キーボードも強制的にロックされる。「『CaLabo®LX』は、検定試験と同じ環境を再現できます。試験の対策にも使いやすいシステムだと思います」と、桐澤先生はメリットを説明する。

生徒2人に対して中間モニターを1台設置。
生徒2人に対して中間モニターを1台設置。
中間モニターに表示させる画面や、画面上の効果などは教卓から自由に設定できる。
中間モニターに表示させる画面や、画面上の効果などは教卓から自由に設定できる。

芸術系授業での作品の制作や論文の作成でもパソコンを駆使

 若葉総合高等学校では、情報処理以外の授業で『CaLabo®LX』などのシステムがどのように活用されているのだろうか。「情報デザインという教科では、作品をつくる授業をしています。具体的にはCDケースのジャケットや、インタビュー記事の紙面などを、パソコンのDTPソフトなどを使って制作しています。このほか、『P検』というICTの活用能力を認定する検定試験を1年次生が受験するのですが、その模擬問題を反復練習するためにパソコン教室を使っています」と、桐澤先生は総合学科ならではの活用法を教えてくれた。

 3年次生は、週2時間の「マイプロジェクト」という授業がある。生徒一人ひとりが2年次生の後半にテーマを決めて、そのテーマに沿って1年間で論文を書くというものだ。その論文のためにアンケート調査を行う場合、結果をExcelで集計し、表やグラフを作成してWordの原稿に貼り付けるという作業が発生する。そのための指導もパソコン教室で行われる。2年次生の授業が多いという桐澤先生は、「3年次生になったらマイプロジェクトの授業が控えていて、その時になったらExcelをこうやって使うんだよ、と伝えています」と語る。

 『CaLabo®LX』などの使用感について桐澤先生は、「画面上の配置が分かりやすく、直感的に操作できるので、初めて利用する場合でも問題なく使えると思います」と評価する。

 若葉総合高等学校のパソコン教室には、システムリカバリソフトの『WinKeeper™』も導入している。「再起動すればデータなどが元に戻るのは便利です。環境復元ソフトがない環境は考えられません」(桐澤先生)

 生徒にとって、高等学校の授業や検定試験だけでなく、卒業後に大学や専門学校へ行った時、さらには就職した後にも、パソコン教室で桐澤先生から学んだ知識は生かされる。「将来パソコンを使わなければいけない機会が訪れた時に、『過去にやったことがある』と思い出してくれるだけでもいいのかなと思っています」(桐澤先生)

*「英検」は、公益財団法人日本英語検定協会の登録商標です。

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