Case Studies

オリジナル問題の継続学習で英語のコミュニケーション力を磨く

―和歌山県―
近畿大学 生物理工学部

理学・農学・工学・医学の最先端研究を行っている近畿大学 生物理工学部では、英語の最新論文に自由にアクセスして、海外の研究者とも活発にコミュニケーションが取れる学生を育てるため英語教育に力を入れている。その支援システムに選んだのがCaLabo®MXだ。

オリジナル問題の継続学習で英語のコミュニケーション力を磨く
近畿大学 生物理工学部

近畿大学 生物理工学部
〒649-6493
和歌山県紀の川市西三谷930

近畿大学は西日本に6キャンパス15学部を擁し、学生数3万4000人を超える総合大学。生物理工学部は、地球環境・食・情報・医療・福祉などの領域に横断的に取り組むべく、2010年の学部改組により理学・農学系3学科と工学・医学系3学科の計6学科に再編成された。

理系の共通言語は「英語」
自分の考えを発信するツール

 近畿大学 生物理工学部は和歌山県紀の川市の和歌山キャンパスにあり、約2000名の学部学生と大学院生が在籍する。生物工学科、遺伝子工学科、食品安全工学科、生命情報工学科、人間環境デザイン工学科、医用工学科の6つの学科をベースに、人間の生活に欠かせない理学・農学・工学・医学の幅広い分野が融合した領域の最先端研究を行っている。

 「これらの分野の研究は世界的に競争が激しく、最新の論文はすべて英語です。一般に論文の日本語訳が出回るのは1~2年後。その時には研究はさらに先に進んでいます。普段の大学の講義や課題でも英語の論文に触れる機会は多く、大学院への進学や特待生になるには、TOEIC®(国際コミュニケーション英語能力テスト)で一定基準以上の得点が求められます」(近畿大学 生物理工学部 教養・基礎教育部門 教授の服部圭子先生)

 しかし、同学部には「高等学校で英語が苦手だったから理系に進んだ」学生が少なくない。学生間の英語力の差は大きいため、例えば1年生の英語の講義は6つのレベルに分け、最下位のクラスは20人弱の少人数制としてキメ細かい対応をしている。

 近畿大学 生物理工学部 教養・基礎教育部門 特任講師の玉井潤野先生は「理系の共通言語は英語です。しかし、文学部ではないのでネイティブみたいな美しい英文が書けるようになる必要はありません。海外でもアジアの研究者にとっては、英語は日本人と同じ第二言語です。学生には最低限の語彙と文法を押さえ、自分の考えを発信するツールとして身に付けてほしい」と語る。

語学4技能に特化したクラウド型
なじみやすいインターフェース

 従来、生物理工学部では2つのCALL教室で講義をしていた。2023年にリプレース時期を迎えるため、CALL教室をリニューアルして集合形式の英語教育を継続するか、学生個人のパソコンやタブレットを学内に持参して学習に使うBYOD(Bring Your Own Device)方式に切り替えるか議論し、後者を選択。それに伴い同年4月に導入したのが、語学4技能学習に特化したクラウド型支援システムのCaLabo®MXである。

 「生物理工学部には、第二外国語担当の非常勤講師を含めると約40名の先生が在籍していて、国籍もICTスキルもさまざまです。以前のCALL教室でもチエル社のシステムを使っていたので、CaLabo®MXのインターフェースがなじみやすい点も導入を決めた理由の一つです」(近畿大学 生物理工学部 教養・基礎教育部門 准教授の長谷川由美先生)

TOEIC®対策として長文のリスニングやリーディング練習

先生が作成してCaLabo®MXに搭載した文法の問題を解く学生。
先生が作成してCaLabo®MXに搭載した文法の問題を解く学生。

 CaLabo®MXはノートパソコンやスマートフォンなど持ち運び可能な端末を利用するMALL型のため、環境を問わずシームレスに英語教育をサポートする。さらに、音声やテキストの教材をSTT(Speech to Text)/TTS(Text to Speech)機能で「音声からテキスト」「テキストから音声」に自動変換。スクリプト付きの音声教材や、回答が設定されたディクテーション教材などをCaLabo®MXで利用できる教材として簡単に作成できる。

 生物理工学部の英語の講義では、理系の学生が興味を持ちやすいように米国の小学校・中学校・高等学校向け科学雑誌から読みやすくてライブ感あふれる記事をまとめた教科書を使っている。この教科書に掲載されているリーディングやリスニングの問題ページを中心にテキスト化してCaLabo®MXに搭載。課題登録することで単語テストなどに使っている。

 「テキストさえあれば、オリジナルの問題を作成・追加できる拡張性の高さは大変便利です。英語が苦手な学生のクラスでよく使っているのはシャドーイング機能。授業で取り上げる教科書と同じ英文を自分の声で録音し、AI(人工知能)が自動採点してくれます。当初は60点を合格ラインにしていましたが、3カ月程度もすると80点や90点の学生が増えてきました。自宅でも手軽に学習でき、自分のスピーキング力が数字で示されるので成果を実感しやすく、モチベーションの高さにもつながっているでしょう」(玉井先生)

 一方、講義レベルが最上位のクラスには、STT/TTS機能を活用してCaLabo®MXに搭載したいテキストを提案してくる学生もいるという。「TOEIC®対策として長文のリスニングやリーディングの力をつけたい学生は、自分で勉強したいテキストを探してきます。もともと時事ニュース英語など英語が得意な学生の意欲を刺激する学習教材が豊富なので、講義以外でもいろいろな機能を試しながら使っているようです」(長谷川先生)

 現在、CaLabo®MXは1年生全員と2年生および3年生の一部の講義で活用している。服部先生は「今の1年生が4年生になる時には、すべての学部学生がCaLabo®MXで学習するようになっているでしょう。英語を暗記の対象ではなく自身を表現する『ことば』として捉えることができるとともに、英語の最新論文に自由にアクセスして、海外の研究者とも活発にコミュニケーションが取れる学生を一人でも多く社会に送り出したいです」と語る。

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